経団連のアメリカ委員会(澤田純委員長、早川茂委員長、赤坂祐二委員長)は11月8日、東京・大手町の経団連会館で懇談会を開催した。米国アイダホ州のブラッド・リトル知事から、同州のビジネス環境や、エネルギー、農業、半導体等、同州で盛んな産業の状況について説明を聴くとともに懇談した。説明の概要は次のとおり。
■ 許認可手続きの簡素化などビジネス環境の整備
長年の基盤産業である農業に加え、テクノロジー産業などの発展により、アイダホ州は全米で最も成長の速い州の一つである。その大きな要因は、当州が最も規制の少ない州として知られているためである。私は知事就任当初から、許認可手続きの簡素化など、州で活動する企業のビジネス環境の整備に注力してきた。こうした規制緩和の取り組みにより、国内外の企業が進出しやすいビジネス環境を提供してきた。さらに、当州は住みやすさの面でも評価されており、全米50州中第5位にランクインしている。このような環境を有することから、州外からの移住者や、国内外の企業の進出が増加している。日本企業のさらなる進出にも期待している。
■ 持続可能なエネルギー供給
持続可能なエネルギー供給に向けた取り組みも進めている。以前から強みとする水力発電に加え、太陽光発電や風力発電など再生可能エネルギー産業を推進している。また、アイダホ国立研究所では、小型モジュール炉(SMR)の開発や使用済み燃料の安全な処理方法などを研究している。安全性を確保した原子力産業の発展につなげたい。
■ 豊富な農業資源と関連産業の発展
当州は豊富な農業資源を持つ。特に、ジャガイモは全米第1位の生産量を誇る。他に、リンゴ、サクランボ、モモなどの果物も多く輸出している。穀物生産においても強みを持っている。州北部で栽培される高品質な穀物は、州内のルイストンからポートランドを経由して、各国に輸出されている。さらに、畜産業や食品加工業も盛んである。例えば、アジアに輸出する牛肉の多くは、アグリビーフ社の州内の施設で加工されている。
■ 半導体産業のさらなる成長に向けて
半導体大手マイクロン社は当州を拠点としている。州都ボイジーでは、新たな半導体メモリー製造工場の建設のために、150億~200億ドルの大規模な投資が行われている。この投資を成功させるためには、多くの資本と専門知識が必要であり、日本企業との連携に期待している。最新技術を活用した半導体を世界に展開することで、世界的に重要な半導体産業の成長に貢献したい。
【国際経済本部】