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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2024年9月26日 No.3652 日本のスタートアップエコシステムに対する国際的な評価 -スタートアップ委員会・企画部会

西口氏

経団連と政府は、提言「スタートアップ躍進ビジョン」(2022年3月15日)で掲げた、27年までにスタートアップの数・成功のレベルを共に10倍にするという目標「10X10X」を共有している。24年6月に米国のStartup Genomeが公表した世界のスタートアップエコシステム分析とランキング(GSER)(注)において、東京は23年から五つ順位を上げて10位となるなど、官民の活動が結果として表れ始めている。

そこで経団連は8月23日、スタートアップ委員会(南場智子委員長、髙橋誠委員長、出雲充委員長)と同企画部会(齊藤昇部会長)の合同会合を東京・大手町の経団連会館で開催した。Startup Genome Japanの西口尚宏代表取締役から、日本のスタートアップエコシステムに対する国際的な評価について説明を聴くとともに意見交換した。説明の概要は次のとおり。

■ 世界のエコシステムの状況

Startup Genomeでは毎年、世界各国のスタートアップエコシステムを都市単位で分析したレポートを公表している。

世界300都市のうちトップ40は、北米・欧州・アジアの各地域でほぼ3等分している状況である。北米は、シリコンバレーやボストンにとどまらない多数の都市が活躍している。欧州も、地域全体で俯瞰すると多様な特色のエコシステムが各国に広がっている。アジアでは、中国とインドは3都市ずつ、日本と韓国は1都市ずつがトップ40にランクインしている。

■ 東京に対する分析

今回、東京では大型エグジットによるエコシステム価値(前述のレポートにおける経済的影響の指標。スタートアップの評価額などの実績値を基に算出)の増加が寄与し、順位が上昇した。9位のソウルは各項目で満遍なく得点している一方、東京は、パテント総数は高評価ながらエコシステム価値と資金調達実績にまだ成長余地がある。

東京の弱みは、エコシステム価値や成長率、資金調達額など、全ての分野において小規模という点である。エグジットまでの期間はどの都市もおおむね10年であり、10年間のスタートアップの成長速度と規模が重要である。シード期の投資規模は各都市と大差ないが、本格的な資金調達を行うシリーズA以降では規模が全く異なる。成長規模が小さいことは、エコシステム価値を高めるうえで大きなボトルネックとなる。

■ 今後強化すべき点

国全体のエコシステムを強化するには、多様な特徴を持つ各都市のエコシステムを充実させる分散型エコシステムを目指すことが非常に重要である。北米や欧州が分散型エコシステムであるのと同様に、各都市の強み・弱みを分析して、強みは強化し、弱みは国内外で相互補完し、日本にもトップ40に入る都市が複数生まれることを目指すべきである。

スタートアップやベンチャーキャピタル(VC)は、小規模エグジットよりも成長加速と成長持続性を優先することが望ましい。新規株式公開(IPO)とM&Aの両選択肢を常に持ち、大型エグジットを行うことが重要であり、そのためには海外展開も不可欠である。

行政は、政策の着実な実行とともに、イノベーションに向けた試行錯誤を阻む規制や慣行を撤廃すべき。

大企業は、自社のイノベーション創出のためにスタートアップと積極的に連携すべきだが、大企業とスタートアップの協業が日本市場に閉じていることが課題となっている。大企業が世界各国に所有している拠点、販路、顧客網、人脈など有形・無形の資産を活用し、スタートアップの海外進出を推進する新しい連携モデルの構築を開始すべきである。

(注)The Global Startup Ecosystem Report 2024
https://startupgenome.com/report/gser2024

【産業技術本部】

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