経団連サイバーセキュリティ委員会(遠藤信博委員長、金子眞吾委員長)はサイバーセキュリティ対策のさらなる推進を図るべく、With/Afterコロナにおけるサイバーセキュリティウェビナーを4月9日に開催し、約450名が参加した。概要は次のとおり。
■ 基調講演「With/After新型コロナにおけるサイバーセキュリティの方向」(三角育生東海大学客員教授)
三角氏は、「ニューノーマルにおいてビジネスイノベーションを起こすうえで、DX(デジタルトランスフォーメーション)は不可欠な手段。DXを安全かつ滞りなく推進するために、サイバーセキュリティが重要である」と指摘し、DXとセキュリティの両者は相関するものとの認識を示した。さらに「経営層が積極的にDXと同様にサイバーセキュリティに取り組むべきである。DXとサイバーセキュリティとを両立させるためには、経営層と現場の橋渡し役として、実務を理解した戦略マネジメント層が重要である」と述べた。
■ パネルディスカッション
パネルディスカッションでは、門林雄基奈良先端科学技術大学院大学教授をモデレーターとして、IPA中核人材育成プログラム(※)修了者である米永雄慶氏、長谷川弘幸氏、戸村真悟氏が、ニューノーマルにおけるサイバーセキュリティのあり方ならびに産業界のリーダーへのメッセージを寄せた。
サイバーセキュリティのあり方に関して、3氏はともに、ニューノーマルに対応するうえでも、テレワークを前提としたサイバーセキュリティ対策が重要であるとした。産業界のリーダーへのメッセージについては、長谷川氏が「経営者と実務者間の定期的なコミュニケーションにより、リスクを正しく恐れる組織づくりが重要」と述べたところ、米永氏が「サイバーセキュリティリスクが適切に経営層へ伝わるための体制構築が必要」と応じた。また、戸村氏は、「セキュリティは決してDXを妨げるものではない」と指摘した。
■ サイバーリスクハンドブック解説(横浜信一日本電信電話執行役員CISO)
最後に、横浜氏が2019年10月に経団連が発行したサイバーリスクハンドブックについて解説。横浜氏は、経営層が経営会議等で議論すべき5つの原則を簡潔にまとめているという同ハンドブックの特徴に触れたうえで、「経営層へサイバーセキュリティへの意識付けを図るため、取締役会メンバーならびに主要子会社のCISOへの配布に加え、同ハンドブックの内容を念頭に置きつつ、多様な場面においてサイバーセキュリティに関連付けて問題提起を行っている」と、具体的な自社での活用事例を紹介した。
※テクノロジー、マネジメント、ビジネス分野を総合的に学習し、企業などの経営層と現場担当者をつなげる“中核人材”を育成するための1年間のプログラム
【産業技術本部】