経団連は2月16日、サイバーセキュリティ委員会サイバーセキュリティ強化ワーキング・グループ(梶浦敏範主査)をオンラインで開催し、内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)基本戦略第1グループの上田光幸内閣参事官から、次期サイバーセキュリティ戦略に向けた研究開発戦略専門調査会における検討状況について説明を聴くとともに意見交換を行った。説明の概要は次のとおり。
■ 今後の研究開発の推進に関する検討の方向性
次期サイバーセキュリティ戦略の策定に向けて、NISCの研究開発戦略専門調査会では、今後の検討の方向性を「産学官にわたるエコシステムの構築」「実践的な研究開発の推進」「中長期的な技術トレンドを視野に入れた対応」を大きな柱とし、検討を進めている。
(1)産学官にわたるエコシステムの構築
昨年7月に研究開発戦略専門調査会のもとに研究・産学官連携戦略ワーキング・グループを設置し、産学官にわたるエコシステムの構築に関して集中的に検討を行ってきた。エコシステム駆動に向けては、欧米の事例ならびにわが国の強み等を踏まえ、人材への投資の促進、知的価値および社会的価値・経済的価値への寄与が大きいと考えられる領域の重点的な強化により、研究開発の国際競争力を躍進させる産学官エコシステムの構築を図っていきたい。
(2)実践的な研究開発の推進
NISCは、実践的な研究開発を推進すべく関係省庁と連携して検討を行っている。今後の取り組み強化の方向性としては、サプライチェーンリスクへの対応に求められるICT機器・サービスの信頼性・有効性を検証するためのオールジャパンの体制整備、国内産業の育成・発展に向けた支援策の推進、サイバー攻撃の把握・分析・共有基盤の強化、量子暗号をはじめとした基礎研究の促進が挙げられる。
(3)中長期的な技術トレンドを視野に入れた対応
研究開発の推進には、AI(機械学習)や量子技術をはじめとした中長期的な技術トレンドを視野に入れた対応が重要である。
AIに関しては、AIを活用したサイバーセキュリティ対策、AIを使ったサイバー攻撃、AIそのものを守るセキュリティといった観点から、また、量子技術に関しては、量子技術イノベーション戦略等も踏まえた対応が挙げられる。
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説明後の懇談では、多くの参加者が、研究開発戦略専門調査会における検討の方向性に賛同する意見を寄せた。
【産業技術本部】