住友商事グループは、「住友の事業精神」や当社グループの「経営理念」に則って、社会と共に持続的に成長するために優先的に取り組むべき重要課題として、2017年にマテリアリティを特定した。マテリアリティは、当社グループの一つ一つの事業が、どのように社会に貢献するのかを、「地球環境との共生」「地域と産業の発展への貢献」「快適で心躍る暮らしの基盤づくり」「多様なアクセスの構築」という4つに整理し、「人材育成とダイバーシティの推進」「ガバナンスの充実」という経営上の課題2つとあわせてまとめたものである。当社グループはマテリアリティを経営の根幹に置き、事業戦略がマテリアリティに合致するかを確認し、当社グループの事業活動が社会に貢献していることを常に意識しながら経営を行ってきた。
一方で、気候変動をはじめとする社会課題が深刻さを増し、社会の持続可能性への重大な脅威となるなかで、当社グループは、社会課題解決のために自ら果たす役割を明確にすると同時に、持続可能な社会の実現により強くコミットするために、サステナビリティ経営をさらに高度化するための取り組みをスタートした。
具体的には、当社グループが取り組むべき6つの重要社会課題として、「気候変動緩和」「循環経済」「人権尊重」「地域社会・経済の発展」「生活水準の向上」「良質な教育」を定め、それぞれの課題に対する長期目標を設定した。6つの重要社会課題は、「社会の持続可能性」と「社会の発展と進化」という2つのテーマから成り立つ。社会の持続可能性を確保することは全世界共通のテーマであり、当社グループの企業活動の大前提である一方、その追求は、より発展・進化した社会から生まれる新たなソリューションによって可能になることから、この2つは互いに連関し、支え合うテーマだと位置付けている。
重要社会課題の一つとして定めた「気候変動緩和」については、持続可能な社会を実現するうえで、世界が一丸となって乗り越えなくてはならない重大な課題であることから、より積極的な役割を果たすべく、今年6月に「気候変動問題に対する方針」を見直した。
当社グループは2050年の事業活動のカーボンニュートラル化を目指し、社会全体の持続可能なエネルギーサイクルの実現のための技術・ビジネスモデルの開拓に挑戦する。また、当社事業のCO2排出の削減・吸収に加え、ビジネスパートナーや公共機関等と協力した取り組みや提言等を通じて、社会のカーボンニュートラル化に貢献することを目指す。
今後、「気候変動緩和」をはじめとする長期目標の達成に向けて、具体的な中期目標やその達成状況を評価するKPIを検討するとともに、幅広い事業分野における長期的な事業環境変化を見通しながら、再生可能エネルギー発電事業に加え、より効率的なエネルギーマネジメントや産業側でのエネルギー消費削減、CO2の吸収固定に資する持続可能な森林事業、CCUSやCO2フリー水素製造といった非連続イノベーション等、多くのパートナー企業と共に、カーボンニュートラルな社会の実現に貢献していく。
住友商事グループのカーボンニュートラル社会の実現に向けた取り組み