当社グループの三井住友銀行では、2006年に環境ソリューション室を設立して以降、排出権取引や環境配慮評価型融資など、顧客企業の環境や社会課題の解決への貢献をファイナンス面からサポートするとともに、グローバルでは再生可能エネルギー関連分野におけるプロジェクトファイナンスを多数組成するなど、本業を通じた環境への取り組みを積み重ねてきた。また、10年の成長産業クラスター創設以降、新エネルギーや農業など、成長が期待される分野における事業共創にも注力している。
ファイナンスの具体例としては、SDGsグリーンローンの提供を通じて、株式会社エノモトの水素社会実現への挑戦、リョービ株式会社の製造プロセスによる環境負荷低減への挑戦をサポートしているほか、鳥取県営水力発電所再整備・運営事業では、水力発電事業を起点に人材育成や地域活性化を通じて鳥取県経済の発展を目指す構想に賛同し、本邦初となる水力発電コンセッション事業に地元金融機関と共に参画している。
一方、事業共創では、「未来創生ファンド」の設立や「Hydrogen Council」「中部圏水素利用協議会」への参画等を通じて、水素社会実現に向けた資金供給メカニズム構築に挑戦している。また、水素社会の構築・拡大に取り組む民間企業8社と共に、水素分野におけるグローバルな連携や水素サプライチェーン形成を推進する「水素バリューチェーン推進協議会」の準備委員会を立ち上げ、12月初旬の団体設立を目指して企業、自治体等の参加を募っている。同団体では、水素の社会実装に向けてさまざまなステークホルダーと連携し、水素産業の育成と発展に向けた取り組みを進める。従来の金融の枠組みを超えて、事業モデルや金融スキームの構築、それを支えるための政策提言等、イノベーション実現に向けた活動に積極的に携わっていく方針である。
SMBCグループは、サステナビリティ経営を加速するべく、20年4月に「SMBCグループサステナビリティ宣言」、そしてこれを遂行するための10年計画「SMBC Group GREEN×GLOBE 2030」を策定し、持続可能な社会の実現に貢献する姿勢を明確化するとともに、顧客企業のサステナビリティにかかる経営課題解決に寄り添うべく、専担組織であるサステナブルビジネス推進室を立ち上げている。
「チャレンジ・ゼロ」宣言に謳われる、脱炭素社会実現という野心的なビジョンの実現に商業銀行グループとして貢献していくには、顧客企業やより幅広い主体との事業共創を通じたイノベーションへの挑戦に加えて、いまや顧客企業の重要な経営課題である、気候変動リスクの低減や低炭素社会への移行に向けた取り組みに、対話を通じて寄り添っていくことが何よりも重要である。基準を設けて貸出ポートフォリオを整理する、いわゆる「ダイベストメント」よりも、顧客企業との対話「エンゲージメント」を進めていく必要がある。
SMBCグループ各社は、顧客企業に対するファイナンスや事業会社との事業共創を通じ、脱炭素社会の実現に積極的に貢献していく。