政府は、今年中にもエネルギー基本計画の見直しに向けた検討を開始する。この動きに対応すべく経団連は4月24日、東京・大手町の経団連会館で資源・エネルギー対策委員会企画部会(長井太一部会長)を開催し、資源エネルギー庁資源・燃料部の三浦聡政策課長から、国際情勢を踏まえた資源・燃料政策について説明を聞いた。主な論点等に関する説明の概要は次のとおり。
■ エネルギー政策の全体像について
エネルギー基本計画は、複数のエネルギー源を組み合わせることによって、安全性・安定供給・経済効率性・環境適合の同時達成を目指している。
エネルギーミックスにおける化石燃料は、2030年においても電力ミックスの半分以上、さらに輸送用燃料等を含む一次エネルギーミックスの4分の3以上の割合を占める見通しであり、引き続き重要である。
■ 資源・燃料の直面する現状と課題―資源開発面
政府は、石油と天然ガスの自主開発比率を、現在の27%から40%へ引き上げることを目標としている。
原油については現在、油価の低迷により開発投資が減少しており、将来的に供給が逼迫し価格が上昇することが懸念される。天然ガスについては、現在の日本の輸入価格は原油価格との連動性が高く、将来的な原油価格の上昇に備えて、原油価格から独立した価格指標の確立が求められる。
こうした状況も踏まえ、わが国としては主要資源国との資源外交を進めている。例えば、サウジアラビアとは、先日「日・サウジ・ビジョン2030」に合意したほか、日本の自主開発油田の約4割が所在するアブダビを世耕弘成経済産業大臣が今年1月に訪問するなど、石油権益の維持・強化に向け積極的に働きかけている。
また、原油価格の低迷を受け、産油国、石油メジャーをはじめ中堅中小開発企業に至るまで、資源権益を開放する動きが見られる。こうした状況を権益買収の好機ととらえ集中投資を行うことで、エネルギー安全保障を強化すべきだといえる。
■ 資源・燃料の直面する現状と課題―精製面
今後、わが国の石油製品の需要は減少が見込まれる一方、アジア各国では製品品質が向上し、輸出が増加することが予想される。これにより、わが国の石油精製業は厳しい国際競争に直面することが見込まれ、生産性の向上が求められる。
■ 課題解決に向けた政策
課題解決に向けた主な政策として、(1)JOGMEC(石油天然ガス・金属鉱物資源機構)の機能強化によるリスクマネー供給を通じた権益獲得の推進(2)「LNG市場戦略」を通じたグローバルかつ流動性の高いLNG市場の形成――に取り組んでいる。あわせて、石油精製業の国際競争力強化に向けて、(3)石油精製業の再編(4)エネルギー供給構造高度化法による設備の有効活用――等を進めている。
こうした政策の実現を通じ、わが国のエネルギーの安定的・効率的供給という使命を果たしていきたい。
【環境エネルギー本部】