経団連は、女性役員のさらなる活躍を支援する「経団連女性エグゼクティブ・ネットワーク」の活動の一環として、経団連初となる団長・団員全員が女性で構成される使節団を2月27日から3月3日にかけて米国ワシントンDCおよびニューヨークに派遣した。吉田晴乃審議員会副議長・女性の活躍推進委員長を団長に、会員企業の女性役員8名が参加した。
今回のミッションの主旨は、トランプ新政権の発足後まもない米国において、日本におけるウーマノミクスの進展および少子高齢化による市場変化への対応について発信するとともに、日米の女性エグゼクティブによるグローバルな交流を通じて、女性活躍の真の目的であるビジネス機会の創出および経済成長への貢献をPRし、両国へのさらなる投資喚起につなげようというもの。
主な訪問先は、ディナ・パウエル大統領補佐官・上級顧問をはじめとする新政権・議会関係者や、クリスティーヌ・ラガルドIMF専務理事、ラクシュミ・プリ国連事務総長補・UN Women事務次長など国際機関、またCSIS(戦略国際問題研究所)、ハドソン研究所といったシンクタンク、米国企業などさまざまな分野の幹部である。
■ 米国へ日本のポジティブな変革を発信
CSISでの「ウーマノミクス」パブリックイベントおよび佐々江信子駐米日本大使夫人主催トークイベントでは、政府、企業、マスコミ関係者数百名に対し、日本の経済界による女性活躍への取り組みや意識変化など日本社会のポジティブな変革を伝えるとともに、単なる女性活躍にとどまらず、日米両国で連携し、ビジネス機会を見いだすなど、日米経済関係に貢献していく姿勢を発信した。
■ ホワイトハウスとのパイプづくり
トランプ政権では、女性の社会進出の課題解決については、イヴァンカ・トランプ氏―トランプ大統領の側近であるパウエル大統領補佐官ラインで、重要政策の1つと位置づけ主導していくとみられている。今回そのパウエル大統領補佐官らから、女性の社会進出を "Emerging Market" ととらえ、双方の経済成長の観点からも日米間で継続的な対話を行うことの重要性が指摘された。
具体的には、ペンス副大統領、麻生副総理をヘッドにスタートする「日米経済対話」や、G7、G20等の場でも女性活躍をアジェンダに加えるなど、両国共通の課題である女性活躍について、日米でロールモデルやコネクティビティーを共有し連携するとともに、両国が世界共通の課題をリードしていくべきだとの意見が出された。また、経団連側からイヴァンカ氏とパウエル大統領補佐官の来日を提案した。
■ 成功体験を他国へ展開
ラガルドIMF専務理事やプリ国連事務総長補など国際機関からは、日本企業の成功体験を共有・連携し、他国にも展開していきたいとの要望が挙がった。
■ 民間同士の交流によるビジネス機会の拡大
今回のミッションの目的であるビジネス機会の創出という観点から、米国企業エグゼクティブとの交流促進が重要となる。今後、経団連と全米商工会議所が中心となり、成功事例やロールモデルの共有、共通する関心事項の特定、商業機会の拡大のためのデータ作成等の活動を協同していくことで合意した。
経団連では今回のミッションの成果を踏まえ、米国において、女性の活躍を通して日本企業のプレゼンスを一層高めていくとともに、日米間の女性エグゼクティブの交流によりビジネス機会を創出し、「女性活躍推進と市場創出」の観点から、両国そして諸外国のさらなる経済発展に寄与できるよう努めていく。
【政治・社会本部】