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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2017年2月2日 No.3302 「過労死等ゼロ」緊急対策に関する説明会を開催

説明会には140名が参加した

経団連は1月25日、東京・大手町の経団連会館で「『過労死等ゼロ』緊急対策に関する説明会」を開催し、140名が参加した。厚生労働省労働基準局の村山誠総務課長が、昨年12月26日に厚生労働省の長時間労働削減推進本部が取りまとめた「過労死等ゼロ」緊急対策を中心に説明を行った。また、説明後の質疑応答では、参加者から多くの質問が寄せられ、この取り組みに対する関心の高さがうかがえた。説明の概要は次のとおり。

■ 違法な長時間労働を許さない取り組みの強化

過労死等防止の社会的関心が高まっている。過労死事案や国会質疑で指摘された点を中心に、立法政策とは別に、現行法のなかでできる対策をまとめた。

まず労働時間の適正把握の徹底を図るため、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」を1月20日付で策定した。そのなかで、労働者の「実労働時間」と「自己申告した労働時間」に乖離がある場合、使用者は実態調査を行うことや、使用者の明示または黙示の指示により自己啓発等の学習や研修受講をしていた時間は労働時間として取り扱わなければならないこと等を明確化した。「実労働時間」と「自己申告した労働時間」の乖離がどの程度で問題となるかは、一律に決められるものではなく、合理的な説明ができるか否かがポイントとなる。

次に、違法な長時間労働を組織的に是正してもらうため、違法な長時間労働が複数の事業場であった場合、従来の事業場単位の指導に加え、本社幹部に対する指導・立ち入り調査も行う。また、2015年5月から導入されている、是正指導段階での企業名公表制度の対象となる企業要件を拡大する。具体的には、違法な長時間労働の要件を現行の月100時間超から月80時間超とし、過労死等・過労自殺等で労災支給決定した場合も対象とする。

■ メンタルヘルス・パワハラ防止対策の強化

2つ目の対策の柱は、メンタルヘルス・パワハラ防止対策である。まず、複数の精神障害の労災認定があった場合、本社に対する個別指導を強化する。特に、過労自殺(未遂含む)を含む事案については、新たに改善計画を企業に策定させ、1年間の継続的な指導を行う。

次に、パワハラ防止対策として、メンタルヘルス対策にかかる企業や事業場への個別指導の際、パワハラ対策も含め取り組みの指導を行う。また、ハイリスクな労働者を見逃さない取り組みが重要であることから、今後省令を改正し、月100時間超の時間外・休日労働を行う労働者の労働時間等の情報を事業者が産業医へ提供することを義務化する。加えて、過重労働等の問題のある事業場に対し、長時間労働者全員への医師による緊急面接(問診)等の実施を都道府県労働局長が指示できる制度として整備する。

■ 社会全体で過労死等ゼロを目指す取り組みの強化

3つ目の対策の柱は、社会全体での取り組みである。その際、事業主団体の協力が欠かせないため、近々労働時間の適正把握のほか、短納期発注や発注内容の頻繁な変更等、長時間労働の背景になっている取引慣行の是正をはじめとする緊急要請を行う予定である。

次に、「労働条件相談ほっとライン」の開設を現行の週6日から週7日に変更し、労働者に対する相談窓口の充実を図る。さらに、労働基準法等の法令違反で公表した事案について、これまで各労働局で公表の仕方がまちまちであったが、今後は厚生労働省のホームページに一定期間掲載する。

※ 「過労死等ゼロ」緊急対策
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000147160.html
※ 労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000149439.pdf
【過重労働防止徹底のお願い(2016年11月17日号既報・抄)】
経団連では、昨年11月に全会員企業に対し、過重労働防止徹底を要請した。「過労死は絶対にあってはならないこと」であり、経営トップが強い意志のもと、自ら先頭に立ってリーダーシップを発揮し、自社の実態に適した取り組みの推進をお願いする。

【労働法制本部】

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