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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2017年1月1日 No.3298 21世紀政策研究所がセミナー「COP22報告および米国新政権の温暖化対策」を開催

21世紀政策研究所(三浦惺所長)は11月25日、セミナー「COP22報告(パリ協定発効後の温暖化対策)および米国新政権の温暖化対策」を開催した。

昨年のCOP21で採択された「パリ協定」が中国、米国、EU等での批准が進み11月4日に発効した後、COP22(11月7~18日)がモロッコのマラケシュで開催された。そこで、COP22に参加した同研究所の竹内純子研究副主幹がCOP22の成果、COP会場で感じたこと、今後の気候変動交渉の見通し等について報告を行った。

あわせて、電力中央研究所社会経済研究所の上野貴弘主任研究員から米国のトランプ新政権の環境・エネルギー政策について、また、国際エネルギー機関(IEA)の吉田綾アジア太平洋パートナーシップ担当課長がグローバル・エネルギー機関としての役割について講演した。

■ COP22報告

竹内副主幹は、COP22の成果として、パリ協定の「ルールブック」策定が2018年のCOP24での採択を目指すことが決まったことを挙げた。COP会場では、「トランプ・ショック」が主たる話題であったが、各国の産業界同士の連携の活発化や「適応(温暖化被害への対応)」に対する途上国の関心の高まりを感じたと述べた。また、パリ協定の運用ルールが策定されれば国家間の交渉に委ねなければならない事項は基本的になくなり、COPは交渉の場ではなく、成果報告や非政府団体のマッチングの場となり、国連気候変動交渉自体が変質すると指摘した。

最後に、最近欧米のエネルギー政策にエネルギー安全保障と経済性優先への回帰がみられ、これは各国の温暖化政策へ反映されていくとの見解を示した。各国の動向を踏まえると、わが国の2030年目標、2050年目標についても、実現に向けて努力していくこと、その前提も含めて議論していくことが重要であると締めくくった。

■ 講演「トランプ政権と温暖化対策」

上野氏は、トランプ政権による温室効果ガス排出規制の見直しはほぼ確実で、石油ガス部門のメタン排出規制といった検討段階のものの撤回や気候変動関連の政府予算の国連拠出を中心とした大幅な削減が予想されると指摘。一方、クリーンパワープラン(火力発電所へのCO2排出規制)といったすでに正式決定したものを覆すことは、米国の制度上制約があると述べた。また、長期的な大きな流れとしては、米国の気候変動対策は政権交代に伴い路線変更が繰り返されてきており、トランプ政権による見直しもどこかのタイミングで必ず揺り戻しがあるとの見通しを示した。ただし、トランプ氏による保守派の最高裁判事(任期が終身)任命の影響は長期間(30年前後)残るとした。

■ 講演「パリ協定の発効とグローバルガバナンス=グローバル・エネルギー機関としての役割」

吉田氏は、新興国(中国・インド)のパリ協定を踏まえた国内のエネルギー革命(エネルギーミックス、エネルギー安全保障、エネルギー効率改善、再生可能エネルギー等)の取り組みについて説明。新興国での系統整備を含む巨大なインフラ整備の需要は、日本の技術をグローバルに展開する機会であることを指摘した。

講演後、温暖化対策の今後の動きについて、有馬純研究主幹(東京大学教授)をモデレーターにパネルディスカッションが行われた。

同研究所では、パリ協定の発効、英国のEU離脱、トランプ政権といった新たな状況のもとで展開される地球温暖化対策の動向について、引き続き分析・検討を進め、積極的に情報発信していく予定である。

【21世紀政策研究所】

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