11月にモロッコのマラケシュで開催されたCOP22(国連気候変動枠組条約第22回締約国会議)では、気候変動政策に関する新たな国際枠組み「パリ協定」発効後の最初のCOPとして、協定のルールづくりに関する議論が行われ、今後の具体的な作業スケジュールが決定した。
そこで、経団連の環境安全委員会(木村康委員長)と地球環境部会(佐久間総一郎部会長)は1日、東京・大手町の経団連会館で合同会合を開催し、環境省の鎌形浩史地球環境局長から、COP22の概要と日本政府の対応について説明を聞くとともに意見交換を行った。説明の概要は次のとおり。
■ パリ協定の発効とCOP22の概要
昨年12月のCOP21で採択されたパリ協定は当初、発効に1~2年はかかると想定されていたが、米国や中国など各国の締結の動きが加速した結果、予想よりも早い11月4日に発効した。日本は11月8日に受諾書を国連に寄託したことにより、12月8日から協定の締約国と認められる。
COP22会期中に開催された「パリ協定第1回締約国会合」(CMA1)に、日本がオブザーバー参加となることについて一部で懸念の声も聞かれたが、日本として議論に参加し、意見をしっかり発言することができたことから、国際交渉上、不利になることはなかったと考えている。
その後、CMA1はいったん中断され、批准国・未批准国すべての国が参加する「パリ協定第1回特別作業部会」(APA1)で交渉を進め、2018年のCOP24で再開するCMA1で協定ルールを決定することとなった。このように、パリ協定を早期に締約した国が特別に有利になる、あるいは締結の遅れている国が置き去りにされるといったことなく、すべての国が参加する「包摂性」という考え方のもと、議論を進めていくことが明確になったことが、COP22の大きな成果である。
また会期中、米国大統領選の結果が判明するなか、各国首脳・閣僚からは、一致団結して後戻りすることなく、パリ協定の実施にしっかり取り組む意思が表明された。
■ 日本政府の対応について
COP期間中に環境省は、「二国間クレジット制度」(JCM)や適応計画の策定・実施支援、キャパシティ・ビルディング(能力開発)など、パリ協定の実施に向けた日本の途上国支援策をわかりやすく示すための「気候変動対策支援イニシアティブ」を発表した。
また、政府のみならず、企業や自治体、市民社会などの非政府主体が一致して長期の温暖化対策に取り組むためのネットワーク構築の場として、「長期目標達成に向けた2050年までの道筋プラットフォーム」の設立イベントが開催され、日本政府に加え、横浜市や日本企業18社が参加した。
今後、環境省としては、省エネ住宅・家電への選択を促す国民運動「COOL CHOICE」を推進していくほか、2050年の長期の温室効果ガス削減に向けたビジョンの検討を進め、政府としての長期の低炭素戦略の提出につなげていく。
その後の意見交換では、「非政府主体である民間企業の意見を十分取り入れながら温暖化対策を進めてほしい」といった発言があった。
意見交換の終了後、「COP22での経団連の活動」「低炭素社会実行計画2016年度フォローアップ結果総括編速報版(案)」「2016年度経団連規制改革要望」について報告・審議が行われた。あわせて、環境再生保全機構から「環境研究総合推進費の活用」について説明があった。
【環境エネルギー本部】