経団連(榊原定征会長)の日本ロシア経済委員会(朝田照男委員長)は7月19日、東京・大手町の経団連会館で来日中のアレクセイ・ウリュカエフ・ロシア連邦経済発展大臣との懇談会を開催し、ロシア経済の現状や今後の日露経済協力の展望等について説明を聞いた。ウリュカエフ大臣との懇談は、6月の経団連訪モスクワミッションに続き2回目。大臣の説明の概要は次のとおり。
■ 露日経済対話の重要性
5月6日にソチで行われた露日首脳会談も踏まえ、ロシアと日本は現在、あらゆるレベルで二国間対話を活発化させている。安倍首相からプーチン大統領に提示された8項目からなる協力プランの具体化に向けて、今後ともさまざまな経済対話を進めていきたい。
■ ロシア経済の現状と見通し
直近2年間、世界的な貿易の低迷等を受け、露日貿易額は減少し続けており、2015年は対前年比で約3分の1も減少した。
他方、原材料価格の下落や通貨ルーブル安、インフレの高進などにより、ロシア経済はここ数年深刻な危機に直面しているが、景気は底を打ち、状況は徐々に改善している。これまでロシア経済を牽引してきた資源・エネルギー分野だけでなく、製造業でも成長がみられるようになっており、来年は鉱工業生産指数ならびに、GDPについて1.5%の成長率を達成するものと見込んでいる。
■ 外国投資家への支援策等
外国投資家への支援の一環として、現在さまざまな政策を策定している。20~30年の超長期の投資に対してリターンを確保する方策を4つご紹介したい。第1に、外国投資家がプロジェクトを立ち上げた際には、ロシアの国家独占企業による公共料金を低減させ、投資家の利幅を拡大する。第2に、製品に対する中期的な需要を保証するため、連邦政府と外国投資家が特別な投資契約を締結する。第3に、とりわけ税制面での優遇策など、経済特区の活用により、投資家に対する追加利益を確保する。第4に、直接投資基金のもと、ロシア政府も出資するかたちで、外国投資家に対するリターンを保証している。
■ 今後の露日経済協力の具体化に向けて
われわれは安倍首相が提案した8項目からなる協力プランを注意深く検討したうえで、具体化に向けたプロジェクト・リストを携えて来日した。このリストには医療、エネルギー、先端技術等47件のプロジェクトが含まれ、8項目すべての分野を網羅している。日本側からの反応も踏まえ、露日両国の首脳が参加し、9月にウラジオストクで開催される東方経済フォーラムに向けて、リストの内容を精査していきたい。
【国際経済本部】