経団連(榊原定征会長)、日本商工会議所(三村明夫会頭)、経済同友会(小林喜光代表幹事)、全国中小企業団体中央会(鶴田欣也会長)は6月23日、東京・大手町の経団連会館で「働き方・休み方改革セミナー」を開催し、経営者や人事担当の管理職を中心に約500名が参加した。
開会あいさつのなかで経団連の椋田哲史専務理事は、「経済4団体では、企業の競争力の源泉である労働者に活き活きと働いてもらうことが、企業の成長につながるとの認識のもと、働き方・休み方改革を推進している。働き方・休み方改革に一律の解はなく、各社の実情に応じて取り組むことが最も効果的である。本セミナーが、各社の取り組み促進の一助となることを祈念する」と、開催の趣旨を説明した。
また、来賓あいさつした厚生労働省の村木厚子事務次官は、働き方改革に関する政府の取り組みとして、夏の生活スタイルを変革する「ゆう活」などを紹介。そのうえで、働き方改革には企業トップの強いリーダーシップと労使のコミュニケーションが不可欠であるとして、企業の自主的な取り組み促進に対する期待を述べた。
■ 基調講演「なぜ『働き方改革』なのか」
佐藤博樹中央大学大学院教授
セミナー前半では、中央大学大学院戦略経営研究科の佐藤博樹教授が講演し、働き方改革の必要性と、その推進において重要な管理職の役割について解説した。
そのなかで、育児や介護に代表される時間的制約がある社員の増加に対応するため、「時間資源」を有限な「経営資源」ととらえ、その範囲で実現可能な仕事において付加価値の最大化を目指していかなければならないと指摘した。そして、これからの企業経営においては、部下のワーク・ライフ・バランスを支援しつつ、その意欲と能力を高め、組織成果を上げることのできる「ワーク・ライフ・バランス管理職」が求められていると締めくくった。
■ 企業事例
後半は、「働き方・休み方改革」に積極的に取り組む企業5社から取り組み事例が紹介された。
まず、カルビー会長兼CEOの松本晃氏が登壇し、世界との競争に勝つためには、旧来の日本の労働慣行を壊していかなければならないとの強いメッセージを送った。
朝型勤務を実施している伊藤忠商事からは、人事・総務部長代行兼企画統轄室長の垣見俊之氏が導入にあたってのプロセスや苦労した点などを中心に紹介した。
LIXIL・HR Diversity & Engagement部長の谷亘氏は、働き方改革には意識改革、制度整備、取り組みの徹底が重要であると訴えた。
衣服の製造・販売を行うモーハウス代表取締役の光畑由佳氏は、柔軟な働き方として「子連れワーク」を紹介した。
王子ホールディングスコーポレートガバナンス本部副本部長の黒川勝己氏は、環境変化に対応し、持続可能な企業として発展していくためには、事業構造の転換が不可欠であるという経営トップの強い意志が、働き方改革の徹底につながっていると述べた。
参加者からは「働き方改革には、トップの強い意志とともに粘り強い取り組みがいかに重要か、あらためて感じた」「長時間労働削減に向けたヒントを得ることができた」など、好評であった。
【労働法制本部】