1%(ワンパーセント)クラブ(佐藤正敏会長)では、災害ボランティア活動支援プロジェクト会議(支援P)、東日本大震災支援全国ネットワーク(JCN)との共催で、企業の被災地支援担当者による現地視察を6月、7月、8月にそれぞれ2泊3日で実施する。
6月23~25日に実施した第1弾では、石巻市から釜石市までの沿岸部を北上し、被災者に寄り添いながら復興の課題解決に挑戦している団体の活動現場を視察するとともに、意見交換を行った。
概要は次のとおり。
■ 記憶をつなぐ
被災地には、震災の記憶を風化させないため、また、防災について考えるきっかけとなればと、震災語り部の活動を行っている団体が多数ある。今回訪問した「みらいサポート石巻」では、津波による被害状況や石巻の「現在・過去・未来」を伝えるためのスマートフォンやタブレット端末向けアプリケーションを開発・公開している(写真参照)。このアプリを使った「防災まちあるき」は、震災直後に被災地を訪れることができなかった人々にも臨場感溢れる情報伝達ができる。支援の入口として、企業が社員に被災地の状況を伝える活動での利用も考えられる。
■ 暮らしを支える
仮設住宅での生活が長期化するなか、コミュニティー形成や住民主体の復興を支援する活動がNPOによって展開されている。しかし、復興公営住宅への移転、自立再建できる人たちの転出、仮設住宅の統合など、再びコミュニティーをつくり直さなければならない時期が来る。これに備え、「気仙沼まちづくり支援センター」では、防災集団移転による住宅再建やコミュニティー再構築のため、住民の意見調整や事業支援を行うNPOや大学関係者などの「地域コーディネーター」を派遣する仕組みを構築している。
■ 新たな仕事をつくる
被災地では、これまでとは異なる視点での生業づくりが行われている。女川町の「コミュニティスペースうみねこ」では、救援物資のTシャツを再利用した布草履づくりを行っており、生きがいや居場所づくりの活動として定着している。さらに、高齢の男性による果樹園や畑での仕事、女性による収穫した果実の加工・販売、ランチ定食の提供、子育てしながら働けるハーブづくりなど、着実に活動が広がっている。
また、南三陸町では、羊を活用したプロジェクトが「さとうみファーム」によって始まっている。わかめの飼料で育てた羊肉のブランド化、羊毛製品の開発、観光牧場、レストラン運営など、将来ビジョンを描き、着実に歩みを進めている。こうした場では、ボランティアができる作業もたくさんあり、復興に向けた夢を共有しながら活動ができる。
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視察では、現場を「見る」「知る」ことで、現地ニーズを把握し今後、継続的に支援活動を展開するうえで役立つ情報やヒント、ネットワークを得る機会となる。第2弾は7月30日~8月1日、第3弾は8月27~29日に実施予定。詳細は、経団連事業サービス(電話03―6741―0042)まで。
- 第1弾:企業の資源を活用した中長期的な支援を探る
- 第2弾:新規事業と雇用創出への挑戦
- 第3弾:震災により顕著になった地域課題への対応