サイバーセキュリティ強化のための協調体制の構築
第4次産業革命技術の社会実装およびSociety 5.0の実現に向け、データ利活用促進が求められている。IoT(Internet of Things)時代のキーは、あらゆるモノがインターネットにつながることによって収集した「データ」をいかに活用するかである。
第4次産業革命技術の社会実装およびSociety 5.0の実現に向け、データ利活用促進が求められている。IoT(Internet of Things)時代のキーは、あらゆるモノがインターネットにつながることによって収集した「データ」をいかに活用するかである。
サイバー空間とフィジカル空間の融合による新たな社会「Society 5.0」。あらゆるモノ・コト・サービスがネットワークでつながり、データの活用が飛躍的に進むことにより、さまざまな社会的課題が解決される。そんな輝かしい未来が到来する。一方で、サイバー攻撃の対象が増加し、対策を急がなければあらゆる情報が窃取され、事業の停止や物理的障害までもが引き起こされてしまう。安心・安全なSociety 5.0を実現するためには、サイバーセキュリティに万全を期さなければならない。2年後の2020年に東京オリンピック・パラリンピックを控えた今、関係者の連携のもと対策強化に国を挙げて取り組むことが喫緊の課題となっている。
そこで本座談会では、野田聖子総務大臣を迎え、Society 5.0時代におけるサイバーセキュリティのあり方、対策強化に向けた産学官それぞれの役割と連携について議論する。
野田聖子(総務大臣/衆議院議員)
2020年の東京パラリンピック成功に向けた取り組みを進めるなかで、サイバーセキュリティの重要性を認識し、自民党「サイバーセキュリティ対策推進議員連盟」を立ち上げた。現在は、総務大臣として「IoTセキュリティ総合対策」を推進している。サイバーセキュリティは安全保障の問題であり、国家として国民を守らなければならないという思いで取り組んできた。これからも国会議員の課題認識を高めつつリテラシー向上に努めていくが、経済界からの応援を期待している。
中西宏明(経団連副会長、情報通信委員長/日立製作所会長)
変革によって新たな世界が誕生するとき、ポジティブな側面とネガティブな側面が必ず生まれる。前者がSociety 5.0実現による社会的課題の解決であるとすれば、後者の典型例はサイバーセキュリティ問題である。東京オリンピック・パラリンピックでは、交通機関をはじめとする社会インフラへの攻撃が想定される。ITのみならずOTのスキルをも備えた人材育成が急務である。ここ3年の間に、経営者の認識も大きく変わってきた。官民連携のもとサイバーセキュリティ対策を推進していきたい。
土屋大洋(慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授)
意図的なサイバー攻撃は、必ず地政学上のリスクと結び付いている。近隣諸国との緊張関係を抱える日本は、東京オリンピック・パラリンピックが狙われることを想定し、対策を講じる必要がある。ハッカーたちの「晴れ舞台」にしてはならない。初等中等教育など早期に人材を育成する取り組みが必要だ。政府の過剰な関与を望まない日米英等のグループと、国際条約などによる規制強化を主張する中露・中東諸国等のグループとの間で国際協議が二極化することを懸念している。日本は、ASEANとの協議など、各国・各地域との関係構築を急がなければならない。
遠藤信博(経団連審議員会副議長、情報通信委員長/日本電気会長)
IoTの世界では、サイバー空間と個々のネットワークの双方がセキュアな状態であることが求められる。現在、セキュリティ人材は圧倒的に不足している。明確な対処方針のもと、人材の育成・確保を図っていく必要がある。同時に、国民のリテラシーを高める取り組みやSociety 5.0を担う若い世代を育てるための教育システムの構築も必須である。当社では、総務省による事業の一環として、ASEAN諸国での人材育成も行っている。引き続き産学官の連携、国際的な協調・協働を進めたい。
根本勝則(司会:経団連常務理事)
「経団連サイバーセキュリティ経営宣言」にあたって
http://www.keidanren.or.jp/policy/2018/018.html
金子眞吾(経団連情報通信委員長/凸版印刷社長)
サイバーセキュリティ最前線
西本逸郎(ラック社長)
真の安全・安心を目指して
―サイバー攻撃被害から学んだ堅ろう化の取り組み
中島 透(日立製作所情報セキュリティリスク統括本部長)
東京オリンピック・パラリンピックそしてSociety 5.0の実現を見据えた本検討会の活動概要
―サイバー攻撃は社会的リスクとみなして官民が緊密に連携した「オールジャパン」の視点で推進すべき
上野耕司(産業横断サイバーセキュリティ人材育成検討会会長/JXアイティソリューション統括部長)
Society 5.0実現へ向けた産業サイバーセキュリティの強化
寺澤達也(経済産業省商務情報政策局長)
【鼎談】
サイバーセキュリティ 最後の砦
―セキュリティ専門家が語るわが国の目指すべき方向性
(PDF形式にて全文公開中)
名和利男(サイバーディフェンス研究所専務理事)
西尾素己(デロイト エクスポネンシャル マネジャー)
中島明日香(日本電信電話)
小川尚子(司会:経団連産業技術本部上席主幹)
「サイバーセキュリティ? なにそれ、おいしいの?」からの脱却
文月 涼(内閣官房内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)上席サイバーセキュリティ分析官)
サイバー犯罪の国際的な傾向と官民連携による対策
中谷 昇(インターポールグローバルコンプレックス・フォー・イノベーション(IGCI)総局長)
東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に向けたサイバーセキュリティ対策
坂 明(東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会チーフ・インフォメーション・セキュリティ・オフィサー(CISO))
【提言】
Society 5.0の実現に向けたイノベーション・エコシステムの構築
http://www.keidanren.or.jp/policy/2018/010.html
山西健一郎(経団連副会長、未来産業・技術委員長/三菱電機取締役相談役)
小野寺 正(経団連未来産業・技術委員長/KDDI取締役相談役)
住友化学 × Society 5.0 → SDGs
-SDGsに貢献する製品・技術を社内認定、その開発・普及を促進
住友化学
日本のエネルギー情勢の現状と課題 (7)
今後の電気事業について
―エネルギー政策を考えるうえでの視点
(電気事業連合会)
これからのヘルスケア (6)
社会に貢献できる健康経営
(花王)
経営者のひととき
組織を再建するリーダーはどうあるべきか
―『難題が飛び込む男 土光敏夫』
武藤光一(商船三井会長)
Essay「時の調べ」
水着で温泉へ
―ハンガリーと日本の文化的な差異
コバーチ・エメシェ(ハンガリー・カーロリ・ガシュパール大学講師)