「親子会社法制等に関する問題点」に対するコメント

1998年9月1日
(社)経済団体連合会


 わが国企業が経営の効率性を追求し、国際競争力を維持・強化していくためには、経済環境や構造変化に迅速に対応し、企業組織を柔軟に改編させていくことが必要である。こうした観点から、昨年12月、改正独占禁止法が施行され、純粋持株会社が解禁されたことは、経済界として歓迎している。また、これを受けて、法制審議会商法部会が、親子会社関係創設のための新たな手続について迅速に検討を行ない、さる7月8日、「親子会社法制等に関する問題点(以下:問題点)」を公表したことを、高く評価するところである。
 経団連では、実務的観点から「問題点」について詳細な検討を行ない、下記の通りコメントをとりまとめた。今後の検討にあたり、十分斟酌されることを求めたい。
 なお、「問題点」の内、「親子会社関係創設のための手続」および「資産の評価に関する問題点」の部分は、グループ経営の進展や企業会計原則への時価会計の導入を踏まえ、とりわけ、緊急に結論を得るべきものである一方、「親子会社をめぐる株主等の保護」の部分については、目下進められているコーポレート・ガバナンスに関する議論の行方を踏まえ、慎重に検討すべきものであり、両者を切り離して検討することも、考慮に値する。
 また、「問題点」の提案する「親子会社関係創設のための手続」を実効あるものとするためには、商法のみならず、税法等の関連法制の整備が必要である。政府一体となって、関連法制を整備するよう望む。


第1編 親子会社法制に関する問題点

 第1章 親子会社関係の創設のための手続

1(手続創設の必要性)

2(株式交換)

2-(1)(株式交換契約書)
2-(2)(株主総会の承認)
2-(3)(交換比率の公正確保)
2-(4)(事前の情報開示)
2-(5)(反対株主の株式買取請求権)
2-(6)(検査役の調査)
2-(7)(債権者保護手続)
2-(8)(簡易な株式交換)
2-(9)(株式交換無効の訴え)

3(親会社の設立)

3-(1)(株主総会の承認)
3-(2)(事前の情報開示)
3-(3)(反対株主の株式買取請求権)

 第2章 親子会社をめぐる株主等の保護

1(見直しの必要性)

2(親会社の株主の権利)

2-(1)(子会社の株主総会に関する権利)
2-(2)(子会社の情報開示)
2-(3)(子会社に関する会社法上の訴え)
2-(4)(子会社の株式の譲渡)

3(監査役の子会社に対する権限)

4(子会社の株主の権利)

4-(1)(親会社の情報開示)
4-(2)(親会社等の責任)

5(監査役の親会社に対する権限)


第2編 資産の評価に関する問題点

1(時価評価の必要性)

2(配当可能限度額との関係)


[その他]
  1. 商法関係
    1. 抜殻方式の整備
    2. 既発行の転換社債、新株引受権付社債、ストック・オプションの取扱い
    3. 株券交換手続の整備
    4. 利益相反取引規制の緩和
    5. 定款の事業目的の記載方法
    6. 新設の親会社の初年度の配当原資の確保
    7. 営業の全部譲受
  2. 税法関係
    1. 株式交換・親会社設立手続における税法上の手当て
    2. 抜殻方式における税法上の手当て
    3. 連結納税制度の導入
以 上

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