「親子会社法制等に関する問題点」に対するコメント

[その他]

 「問題点」が挙げる項目以外に、下記につき、併せて要望したい。


  1. 商法関係
    1. 抜殻方式の整備
    2.  株式交換および「親会社設立手続」が整備されたとしても、この制度では、事業会社が既存の事業部門を分社化して自らが持株会社となることはできないが、こうしたニーズは大きい。そこで、既存の抜殻方式の整備が必要である。具体的には、現物出資に係る調査の簡素化、許認可の継続性の確保等の整備が、税法の整備とともに望まれる。

    3. 既発行の転換社債、新株引受権付社債、ストック・オプションの取扱い
    4.  「問題点」で提案する手続にしたがって、親子会社関係の創設を行う場合において、既発行の転換社債や新株引受権付社債等があった場合でも、転換権や新株引受権の行使により発行する株式を、親会社株式とできるよう制度整備を行うべきである。

    5. 株券交換手続の整備
    6.  株式交換等に係る株券の交換手続を円滑に進めるため、株式併合の規定等を参考にしつつ、規定を整備すべきである。

    7. 利益相反取引規制の緩和
    8.  取締役会の承認に基づいて取締役が代表者を兼務することとなった会社等法人と、会社との間の取引については、利益相反取引には該当しないこととすべきである。

    9. 定款の事業目的の記載方法
    10.  現行においては、定款の事業目的は具体的・個別的に記載することとされているが、純粋持株会社に関し、「他の会社の株式を保有することにより、その事業活動を支配すること」といった一般的な記述が認められるべきである。
       また、現行においては、100%子会社の場合の定款における事業目的は、親会社の定款における事業目的の範囲内でなければならないとされており、100%子会社によって新規事業を行う際に親会社の定款変更が必要となり、機動性を損ねており、法令上の手当て又は登記実務の改善が求められる。

    11. 新設の親会社の初年度の配当原資の確保
    12.  「問題点」で提案する手続により親子会社関係を創設した場合において、子会社と親会社の決算期を同じくした場合において、親会社における初年度の配当原資がなく、配当が不可能となる。この点について、何らかの措置を講ずるべく、検討が必要である。

    13. 営業の全部譲受
    14.  現行では、他の会社の営業の全部譲受けについては、譲受会社の株主総会の特別決議を要し、反対株主に株式買取請求権を認めるものとされている。しかし、譲受会社にとって重要でない他の会社の営業の全部譲受けについてまで、特別決議を要するとし、反対株主に株式買取請求権を認める必要はなく、本規定は、グループ経営の機動性を阻害している。他の会社の営業の全部譲受けについては、譲受会社にとって重要となるべき営業の譲受に限って、譲受会社の株主総会の特別決議を要するものとし、反対株主に株式買取請求権を認めるものとすべきである。

  2. 税法関係
    1. 株式交換・親会社設立手続における税法上の手当て
    2.  株式交換および「親会社設立手続」においては、「一方の会社」の株主は、その有する株式を「他方の会社(親会社)」に提出し、「他方の会社(親会社)」の株式を割り当てられることとなるが、この際、「一方の会社」の株主に対し、譲渡益課税がなされることとなる。また、「他方の会社(親会社)」に対し、資本増加(設立)に伴う登録免許税、新株発行に伴う印紙税が課されることとなる。そこで、これらについて税法上の優遇措置が必要である。

    3. 抜殻方式における税法上の手当て
    4.  株式交換および「親会社設立手続」が整備されたとしても、この制度では、事業会社が既存の事業部門を分社化して自らが持株会社となることはできず、抜殻方式を利用することとなるが、抜殻方式では、親会社に対し、資産の譲渡益課税が行われ、子会社に対し、設立の登記のための登録免許税、不動産取得税、消費税、印紙税等が課される。これらについて税法上の優遇措置が必要である。

    5. 連結納税制度の導入
    6.  企業が経営環境に応じた組織形態を選択するにあたり、税制は中立的であるべきであり、今回の商法改正による株式交換等の導入を意義のあるものとするためにも、連結納税制度の導入が必要である。

以 上

日本語のホームページへ