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巨額の財政赤字はもとより、消費税率の上昇など国民一人一人の税負担が重くなっている状況において、従前のような援助予算の増加を行うとすれば、国民の同意を得ることは困難となろう。むしろ限られた資金の中で、いかにして効率的な途上国援助を実施できるのか、提言1で述べたODA推進体制の改革を待つことなく、予算、援助形態などを含むODA事業全体をゼロベースで見直すべきである。
現在、ODA事業は企画、立案から実施、評価までほとんど政府主導により行われており、民間部門は単なる事業請負業者に止まっている。しかし、効率的かつ波及効果の高い援助を実施していくためには、民間部門をパートナーとして起用し、その有する経験、知識、ノウハウ、人材、資金等を以下のとおり、従来にも増して積極的に活用していくべきである。
総合支援計画は、途上国側の政府・経済界等の官民との対話によって、相手国の理解を得つつ策定されなくてはならない。
さらに総合支援計画の策定に当っては、他の援助供与国・援助卒業国及び国際開発機関との間で調整を図り、これら諸国・機関との連携によって計画が推進される視点を一層強めるべきである。
特に個別プロジェクトの企画・立案など初期の段階から民間の視点を取り入れることが肝要である。その際、中立性、公平性の確保の観点から、途上国の産業育成を目的として官民協力のもとに設立された日本国際協力機構(JAIDO)の役割に注目し、その最大限の活用を図るべきである。また、事後評価も公平・中立を担保しうる第3者(民間を含む専門家)によって行われるべきである。
なお、プロジェクトの執行に当たっては、透明性が高く開かれたシステム(例えばプロジェクトに携わる専門家の公募等)の導入を検討すべきである。