[ 目次 | 本文 | 提言1 | 提言2 | 提言3 ]
政府開発援助(ODA)の改革に関するわれわれの考え

提言2 ODA事業の見直し
〜官民のパートナーシップによる援助の実施


  • 官民のパートナーシップによる総合支援計画を策定すべきである。

  • 個別プロジェクトの企画、立案から実施、評価まで、民間の知見を結集した援助を実施していくべきである。

巨額の財政赤字はもとより、消費税率の上昇など国民一人一人の税負担が重くなっている状況において、従前のような援助予算の増加を行うとすれば、国民の同意を得ることは困難となろう。むしろ限られた資金の中で、いかにして効率的な途上国援助を実施できるのか、提言1で述べたODA推進体制の改革を待つことなく、予算、援助形態などを含むODA事業全体をゼロベースで見直すべきである。

現在、ODA事業は企画、立案から実施、評価までほとんど政府主導により行われており、民間部門は単なる事業請負業者に止まっている。しかし、効率的かつ波及効果の高い援助を実施していくためには、民間部門をパートナーとして起用し、その有する経験、知識、ノウハウ、人材、資金等を以下のとおり、従来にも増して積極的に活用していくべきである。

[2−1] 官民のパートナーシップによる総合支援計画の策定

ODA事業をより効果的に進めていくためには、官民の協議の場を活用し、地域、国、テーマ別に支援計画を総合的に策定すべきである。その際、企業、NGOを含めた民間の資金・ノウハウ・経験とODAとが、どのように連携すれば最も効率的に資金を活用し、途上国の経済発展を有効に支援できるのか、という観点から検討すべきである。

総合支援計画は、途上国側の政府・経済界等の官民との対話によって、相手国の理解を得つつ策定されなくてはならない。

さらに総合支援計画の策定に当っては、他の援助供与国・援助卒業国及び国際開発機関との間で調整を図り、これら諸国・機関との連携によって計画が推進される視点を一層強めるべきである。

[2−2] 個別プロジェクトの各段階(企画・立案・実施から事後評価)における民間とのパートナーシップ

総合支援計画に基づき、個別プロジェクトの企画・立案、実施、事後評価を行うに当たり、民間(経済界、NGO、学界など)の参画によって知見を集め、速効性のある方策を求めていくべきである。

特に個別プロジェクトの企画・立案など初期の段階から民間の視点を取り入れることが肝要である。その際、中立性、公平性の確保の観点から、途上国の産業育成を目的として官民協力のもとに設立された日本国際協力機構(JAIDO)の役割に注目し、その最大限の活用を図るべきである。また、事後評価も公平・中立を担保しうる第3者(民間を含む専門家)によって行われるべきである。

なお、プロジェクトの執行に当たっては、透明性が高く開かれたシステム(例えばプロジェクトに携わる専門家の公募等)の導入を検討すべきである。


日本語のホームページへ