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政府開発援助(ODA)の改革に関するわれわれの考え
提言1 ODA推進体制の改革
- 多岐にわたる関係省庁、複雑化した推進体制を改め、援助政策を担当する省と執行を行う機関の役割分担を明確にし、それぞれ一元化すべきである。
- 執行機関としては、国際協力庁(仮称)を設置すべきである。
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わが国のODA体制については、60年代から70年代にかけて実施機関が相次いで設置されて以来、援助額の急速な拡大とともに、関係する省庁も増え、それとともに各省からの事業委託、補助金を受けた援助関係団体も増大した。その結果、縦割り化された行政システムと硬直化した予算配分の中で、ODAは関係省庁毎にバラバラに実施されるに至っている。
現在、政府が検討している行政改革の一環として、ODA推進体制についても抜本的な改革を行うべきであり、われわれは以下の体制の確立を訴える。
[1−1] 援助政策を担当する省の一元化
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有償資金協力の4省庁体制、さらに技術協力を合わせて19省庁が個別に援助の政策と執行の双方に関与している現在の体制は、諸外国にもほとんど例がない。これを改め、援助政策は一元化されるべきである。具体的にいずれの省が援助政策を担当するのかについては、今後の行政改革における中央省庁の再編に際して定められるべきである。
当該省は、財政当局に対する援助関係予算の要求を一元的に行う。また、下記の国際協力庁(仮称)が予算を一元的に執行する。
[1−2] 執行機関の一元化〜国際協力庁(仮称)の設置
- 組織
- 現行の実施機関である海外経済協力基金(OECF)と国際協力事業団(JICA)およびODAに係る19省庁の各局、部、課、室などが行っている業務ならびに予算を見直した上で整理統合し、執行機関として新たに国際協力庁(仮称)を設置すべきである。これに伴いOECF・JICA以外の各省庁管轄の援助関係団体についても、その設立意義、現在の役割を見直した後、整理統合し、コスト削減に努めるべきである。
- 一元化された国際協力庁において、途上国を総合的に支援し、援助の効果を高めていくためには、有償、無償、技協といった援助形態別の組織編成ではなく、地域別の組織編成とし、地域・国別の援助計画を策定・執行することとする。
- 業務
- 国際協力庁はわが国唯一の援助執行機関として、二国間援助、国際機関への出資・拠出、および新たに地域開発援助を行う。
- 担当の省により策定された援助政策に基づき、地域・国別計画、個別プロジェクトの企画、立案から実施、評価に至るまでの執行を行う。
- 人員構成
- 長官は、経営感覚とサービス感覚をもった人材が就任すべきであり、民間からの登用も考慮する。
- 職員については、独自の採用試験・昇任体系を実施する。その際、国際開発高等教育機構(FASID)等の援助人材育成機関とも連携し、幅広い人材の採用と育成に努めるべきである。
- 専門分野における技術や知識の更新を図る観点から、外部との人事交流を行うことも肝要である。
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