経団連の米倉弘昌会長は7日、「使用電力削減および地球温暖化対策のお願い」を会員あてに発信した。全文は次のとおり。
ご案内のとおり、先般の東日本大震災により、本年夏は、東北や関東地方において、電力の大幅な需給ギャップが予想されています。こうしたことから本年4月、使用電力の削減や従業員等に対する節電の働きかけ等を内容とする、「電力対策自主行動計画」の策定を会員各位にお願いし、ご協力をいただいているところであります。国民生活や経済活動に多大な影響を与える大規模停電や計画停電を確実に回避するため、経済界が率先して主体的な取り組みを推進することが重要です。
また、会員各位におかれましては大震災からの復旧・復興等に全力で取り組まれていることと存じますが、こうした時期においても、経済界は、地球温暖化防止や低炭素社会の構築に向け引き続き積極的な役割を果たしていかなければなりません。
そこで、本年夏の使用電力の削減および地球温暖化対策に関し、以下のお願いを申しあげる次第です。
企業は、事業活動を通じた取り組みに加え、取引先、従業員、社会など、さまざまなステークホルダーに対する働きかけを行うことができます。
そこで、使用電力の削減や、温暖化防止に資する製品・部品などを優先して購入するグリーン購入、温暖化対策に配慮した企業に優先的に投融資を行うグリーン投融資を、関係先に働きかけていただきたいと存じます。
また、家庭における節電、環境家計簿、従業員による夏期における休暇取得の奨励などをお願いいたします。政府が推進する「家庭の節電宣言」プログラムについても、ご協力いただければ幸いです。
使用電力の削減および地球温暖化対策の進捗状況については、担当役員や担当部署を設置するとともに、P−D−C−Aサイクルを回すなど社内体制を整備していただきたいと存じます。
家庭・業務部門の節電 やCO2削減が大きな課題となっているなか、経済界は、省エネ製品・サービスの開発・普及によって貢献できます。引き続き、世界最高水準の省エネ製品・サービスを開発・提供していただきますよう、お願いいたします。
運輸部門のCO2排出量は、わが国のCO2排出量の約2割を占めています。物流効率化や省エネ車の導入、モーダル・シフトなどにより、環境負荷の小さい物流システムを構築し、引き続き、対策に努めていただきたいと存じます。
長期的な視点からみた地球温暖化対策の決め手は、技術です。そして、技術分野こそ、経済界が最も大きな役割を果たせる分野です。引き続き、地球温暖化防止に資する技術のレベルアップを図り世界をリードするとともに、適切な手段で、国内外へ技術の普及を図っていただきたいと存じます。あわせて長期的な視点のもとに、革新的な技術の開発を積極的に推進することを強く期待しております。