1991年の地球環境憲章の制定以来、経団連は、地球温暖化問題の解決に向け、主体的かつ責任ある取組みを進めている。とりわけ、97年には京都議定書の採択に先駆け、環境自主行動計画を策定し、産業・エネルギー転換部門を中心に国内のCO2削減に努めてきた。産業界のこうした努力は、日本発の数多くの低炭素技術として結実するなど、大きな成果をあげた。
一方、地球全体の温室効果ガスは、引き続き急速な増加の一途を辿っており、地球温暖化は、資源・エネルギー制約とともに、世界経済の持続的発展に対する脅威として、われわれの前に立ちはだかっている。わが国産業界は、これまでに培った世界最高水準の優れた技術力をさらに強化し、問題解決に積極的に貢献していく決意である。
温暖化は、長期的かつ地球規模の課題である。そこで、われわれは、「2050年における世界の温室効果ガスの排出量の半減目標の達成に日本の産業界が技術力で中核的役割を果たすこと」を共通のビジョンとして掲げる。
この実現のため、10年後の2020年まで、国内においては、最先端の技術(BAT:Best Available Technologies)の最大限導入などを通じ、事業活動や国民生活などから排出されるCO2を最大限削減する。また、海外においては、温暖化防止に向けた意欲ある取組みを積極的に支援する。同時に、2050年半減のためのブレークスルーとなる革新的技術を戦略的に開発する。
以上の考えに基づき、経団連は、現在の自主行動計画に続く新たな計画として、「低炭素社会実行計画」を策定し推進していく。
本計画を通じ、わが国産業界は、世界最高水準の低炭素技術の開発・実用化をさらに進め、環境と経済が調和する低炭素社会の実現に向け世界をリードすることを宣言する。
参加する業種・企業(以下、参加業種)は、世界最高水準の低炭素技術やエネルギー効率の維持・向上を社会に公約する。
参加業種は、下記 (2) の中より、地球規模の低炭素社会づくりを進める観点から、自らが主体的に取り組む内容をメニュー化した上で、公表し、実施する。
経団連は、参加業種による取組みが着実に行われるよう、政府とも連携しながらPDCAサイクルを推進する。
国内の企業活動における2020年までの削減目標の設定
主体間連携の強化
国際貢献の推進
革新的技術の開発
2050年までに世界全体の温室効果ガスを半減するという長期目標を実現するためのわが国の技術戦略を構築する必要がある。そこで、各業種は、大学などの協力も得ながら、開発・実用化に取り組むべき革新的技術の課題および削減ポテンシャルを明確化し、中長期の開発・普及のためのロードマップを作成、推進する。