日本経団連タイムス No.2741 (2004年10月7日)

日本経団連が「政策評価」説明会開催

−宮原副会長、「企業の社会的使命」/自発的政治寄付呼びかけ


日本経団連は9月29日、東京・大手町の経団連会館で、9月22日に発表した「2004年第2次政策評価」9月30日号既報)に関する説明会を開催、会員企業・団体から約200名が参加した。政策評価に関する説明会は、第1次政策評価を1月に発表した直後にも実施しており、政策評価への会員企業・団体の理解を深めることで、日本経団連が進めている政党の政策評価に基づく政治寄付への理解と協力を働きかけている。説明の中で宮原賢次副会長(政治・企業委員長)は、日本経団連の政治寄付への取り組みを契機に、「議会制民主主義の健全な発展のための社会貢献の一端として、政党本部への自発的な寄付を増やしてほしい」と呼びかけた。

説明会で宮原副会長はまず、活力と魅力溢れる日本を実現するために、昨年9月に日本経団連が10項目の優先政策事項2003年9月25日号既報)を発表、今年1月にはこの優先政策事項と各政党の政権公約の合致度や予算、法案準備を基にした2004年第1次政策評価2月5日号既報)を行ったと、これまでの経緯を説明。その上で、その後の国会での取り組みや実現した政策による優先政策事項の達成度に基づいて、今回の第2次政策評価をまとめたと述べた。
また、日本経団連の今回の政治寄付への取り組みと、1993年までのいわゆる「政治献金の斡旋」との違いについても言及し、(1)政策評価など寄付の判断基準がオープン (2)原則として政治寄付に賛同するすべての政党が対象 (3)各企業が日本経団連の政策評価を参考に自主的に寄付を判断――などの点を、その違いとして指摘した。
その上で、企業が、「政党の政策立案・推進能力の強化という政治インフラの整備に必要なコストについて応分の負担をすることは、社会的存在である企業に求められる使命と自覚すべき」と語った。
また、「政党に対しては、民間の寄付を政策立案・推進能力の強化に充てること、政治資金の効率化と透明性の向上に努め、その使途を公表することの2点を機会あるごとに要望していく」と強調した。

続いて、政経行動委員会の前田又兵衞委員長が、評価の示し方についての基本的考え方や、第2次政策評価のポイントを説明した。この中で前田委員長は、第2次評価の課題として、(1)第1次評価で空欄とした「実績」に評価を与えること (2)「取り組み」について各党の第1次評価を見直すこと――の2点を挙げた。
また、政権与党である自民党は、公約を責任もって実行する立場にあることから、すべての項目で実績を評価した一方、民主党は、「該当する政策の立案から実現までの過程で政党が主体的に関与した場合に評価する」との評価対象の定義に該当しないため、実績をすべて「―(横棒)」にしたと述べた。
さらに、自民党の実績評価のうち、社会保障改革に関する項目については、社会保障全般の改革への展望がないまま安易に保険料率を引き上げたとして「D」評価、教育に関する項目については、教育基本法の改正案が最終的にまとまらなかったことや、公設民営化が実行に移されなかったことから「C」評価としたことを明らかにした。

説明後に行われた質疑応答・意見交換では、参加者から、「日本経団連の政策評価が社会的意味合いを増していくよう努力すべき」「政党が自己の打ち出した政策を官僚にきちんと実行させたかどうかの官僚指導性も評価対象とすべき」「優先政策事項は常にアップトゥデートなものに見直していかなければならない」「寄付を行った企業も、その寄付が有効だったかを評価する必要がある」などの意見が出された。

【社会本部政治担当】
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