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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2024年3月14日 No.3629 英サイバーセキュリティ通商使節団との懇談会を開催 -日英サイバー協力ミッションをフォローアップ

ウィルコックス大使

2月初旬、英国ビジネス・通商省のジュリエット・ウィルコックス・サイバーセキュリティ大使が通商使節団を率いて来日した。ウィルコックス大使は、2023年2月にも経団連を訪れ、サイバーセキュリティ委員会サイバーセキュリティ強化ワーキング・グループ(和田昭弘主査)と懇談している(23年3月2日号既報)。また24年1月、英国・ロンドンに「日英サイバー協力ミッション」(団長=遠藤信博副会長・サイバーセキュリティ委員長)を派遣した際にも、英国サイバーセキュリティ企業と共にラウンドテーブルを実施した(2月22日号既報)。

そこでサイバーセキュリティ委員会サイバーセキュリティ強化ワーキング・グループは2月8日、東京・大手町の経団連会館で同使節団との懇談会を開催した。懇談会終了後のネットワーキングランチには、英国家サイバーセキュリティセンター(NCSC)のリンディ・キャメロン長官(当時)も出席した。概要は次のとおり。

■ 懇談の模様

経団連側から、「先のミッションでも話題になった、ランサムウエアによる身代金支払率は日本が約20%に対し、英国は約80%である。これは日本のサイバー保険が身代金を補償していないことが要因と考えられる。英国は身代金支払いをどのように考えているか」と質問があった。これに対し英国側は、「身代金は支払うべきではない。身代金を支払ってもデータが回復されないという現実的なリスクもある。英国政府は、サイバー犯罪が成功しないよう、犯罪者の活動を阻止したいと考えており、身代金を支払わない方針である。その代わりに、英国政府は企業にサイバーセキュリティの強化を奨励している。保険業界には、身代金の支払いに保険金が充当されることのないように、サイバーセキュリティの強化を促す役割がある」と述べた。

また、経団連側の「民間のサイバープロフェッショナル人材の政府への出向など、英国の人的交流制度はどのようなものか」との質問に対し、英国側は「例えばIndustry 100(注)等の枠組みを通じた人的交流がある。政府の政策立案プロセスを理解できる一方、政府側も民間のスキルやノウハウを吸収することができ、官民双方にとってメリットは大きい」と回答した。

■ キャメロン氏発言

キャメロン氏

われわれが直面するサイバー脅威は複雑化しており、政府単独での対応は甚だ困難である。社会全体の取り組み(whole-of-society approach)を推進することにより、全員参加型のサイバーセキュリティ(Cybersecurity by All)が可能となる。こうした観点から、NCSCは官民連携を最も重視している。Industry 100等を通じて産業界と共に、共通の課題解決に取り組んでいる。

24年1月に経団連と国家サイバー諮問委員会(NCAB)が協力覚書に署名したことは、日英間の官民連携を進めるうえで正しい方向へのステップである。日英両国間のサイバー協力関係は今後とも一層強固になると確信している。

(注)サイバーセキュリティ分野における官民連携を深化させるための旗艦スキーム。17年に発足し、民間企業から専門家を出向者として受け入れている。出向者はアセスメントや人材育成、政策等、多岐にわたる分野で活躍している

【産業技術本部】

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