経団連は6日、東京・大手町の経団連会館で、都市・地域政策委員会と住宅政策委員会の合同会合を開催した。東京大学高齢社会総合研究機構(IOG)の大方潤一郎機構長・教授が「活力ある超高齢社会のための住まい・まちづくり」をテーマに講演。その後、両委員会共管の高齢社会対応部会で取りまとめた提言「高齢社会に対応した住まい・まちのあり方」(別掲)について審議した。講演概要は次のとおり。
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IOGは、高齢化に対応した活力ある社会の構築を目指している。具体的には、住み慣れた地域で高齢者の生活を支える「エイジング・イン・プレイス」の理念のもと、心身が弱っても最小限のケアを受けながら地域社会のなかで交流しつつ、最後まで快活にできるだけ自立的に生きて寿命を全うできる社会の構築である。そのためには「要介護・病気になる前の虚弱化予防・健康づくり」「外出を通じた運動や人との交流」「コミュニティーケアと社会参加を可能にする地域社会の創造」が欠かせない。柏市をはじめいくつかの地域で実現に向けた実証実験が進められており、エビデンスも明確になりつつある。IOGでは、こうした先進事例を活かしつつ、医・食/職・住の三つの観点から研究活動を展開している。
医については、要介護・寝たきりになる前の予防を重視している。そのためには高齢者が集まって楽しく活動する環境と、医療・看護・介護の前段階である日常生活にかかる支援の充実が求められる。また、高齢者の能力を低下させないよう、介護し過ぎない「ミニマム・ケア」の観点も必要だ。
食/職については、引きこもり・閉じこもりを防ぎ、いかに社会参加を促進できるかがカギである。このため、外出しやすいことはもちろん、楽しい場所・機会があって外出したくなるようなコミュニティー環境が求められる。
住については、いかに交流の場をまちに埋め込んでいくかが重要である。ケアの場、交流の場、趣味等の活動の場をコミュニティー空間に埋め込むこと、また、訪問医療・看護・介護ステーション、多目的集会室、コミュニティー食堂などの整備を進めることが重要である。
【産業政策本部】