経団連は11月29日、東京・大手町の経団連会館で労働法規委員会(三浦惺委員長)・少子化対策委員会(前田新造共同委員長、伊藤一郎共同委員長)合同会合を開催した。当日は、厚生労働省雇用均等・児童家庭局の中井雅之職業家庭両立課長から、「今後の次世代育成支援対策」について説明を聞くとともに、意見交換を行った。説明の概要は次のとおり。
■ 仕事と家庭の両立支援を取り巻く現状
25~44歳の日本女性の労働力率は2002年から12年にかけて上昇しているが、依然として、いわゆるM字カーブは解消されておらず、出産後の継続就業率は約4割となっている。第1子出産前後に仕事を辞めた理由の約4割は「家事・育児に専念するため自発的に辞めた」だが、「仕事を続けたかったが、仕事と育児の両立の難しさで辞めた」という理由も一定の割合を占めている。仕事を優先し出産を諦めることがないよう、子どもを持ちながら女性が就業を継続できる両立支援が重要である。
また、男性の育児参加という観点からみると、育児休業取得率について、女性は8割を上回っている一方、男性は1.89%(12年)であり低い水準で推移している。また、子育て期にある30歳代男性の約5人に1人は週60時間以上就業をしている状況もあり、世界的にみても日本の男性が家事・育児に費やす時間は低い水準となっている。
夫の家事・育児時間が長いほど、出産後の妻の継続就業割合および第2子以降の出生割合が高いという調査結果も出ており、男性の家事・育児参加が女性の就業継続、ひいては少子化対策に資するといえる。
■ 次世代育成支援対策推進法に関する検討状況
次世代育成支援対策推進法は、05年度から14年度までの時限立法として制定され現在、その延長について、労働政策審議会雇用均等分科会において議論されており、年内に報告が取りまとめられる予定である。
議論の方向性としては、同法を10年間延長し、一般事業主行動計画(以下、行動計画)の策定・届出・公表は義務であるものの、行動計画の策定内容についてはこれまでどおり企業の実情に合わせたものとし、認定制度については、一部見直しを行う。具体的には、男性の育児参加促進の観点等から、現行の認定基準の一部を引き上げるとともに、新たな認定制度を設けるとしている。新たな認定制度では、先進的な取り組みを行っている企業を評価するとともに、行動計画の策定・届出義務に代えて、一定の項目の実績値を公表することとする。また、認定取得企業の裾野を広げるため、認定制度の周知徹底方策や経済的インセンティブの付与等について、具体的に検討するとしている。
■ 事業所内保育施設への支援
待機児童解消の観点から、子ども・子育て関連3法に基づく新制度においては、一定の条件のもと、市町村の認可を得た事業所内保育施設は「地域型保育給付」という公的な財政支援の対象となりうる。
現在、内閣府の子ども・子育て会議基準検討部会において、地域児童の受け入れ枠と自社従業員の利用枠の比率等、具体的な検討を行っているところである。
【労働法制本部、経済政策本部】