日本経団連は25日に、2006年の政党の政策評価を取りまとめ、政治・企業委員長を務める宮原賢次副会長が、東京・大手町の経団連会館で発表記者会見を行った。今回の政策評価は日本経団連が一昨年から行っている、政党の政策評価に基づく企業・団体の自発的な政治寄付を促進する活動の一環である。評価の対象は自由民主党<PDF>と民主党<PDF>の2党。各党評価のポイントに関する宮原副会長の説明の概要は次のとおり。
宮原副会長は、今回の政策評価の発表がちょうど臨時国会召集、安倍新政権発足の前日に当たるため、今回の政策評価を、「小泉内閣の最後の1年間を振り返ったもの」と位置付けた上で、小泉内閣によって、日本の政治は大きく変わりつつあり、政策が重みを持ち、政治主導で改革を推進する機運も高まったことを指摘した。特に、小泉内閣の最後の1年間については、「総選挙での大勝を受け政治主導を強化したことは特筆できる」と述べた。
また、具体的な評価の中では、優先政策事項の1番目の「税・財政改革」について、政治主導で歳出削減策を取りまとめたことから、「合致度」「取組み」ともにAと高く評価したと説明した。
一方で、社会保障や雇用・就労などは、抜本改革に向けた進展がみられなかったこと、また、国民投票法案や教育基本法案など、06年の通常国会で継続審議になった重要法案があることを指摘したと述べた。これらの分野の改革は、日本の活力と魅力を高めるために、不可欠で緊急度の高いものであることから、宮原副会長は、「新政権には、政策本位の潮流をさらに大きなものにするとともに、信念をもって改革を進めてもらいたい」と語った。
一方、宮原副会長は、民主党の政策については、教育など、優先政策事項の方向性と一致する分野もあるが、環境・エネルギーや雇用・就労などの分野では、日本経団連の考えと反する政策も推進しており、方向性が一致しない点もあると評価したと説明。また、科学技術政策など、方向性は一致しても、具体策が明示されていない分野もあると指摘したと述べた。
また、民主党が4月の代表交替に伴って、「対案路線」から「対立軸路線」に転換したことについて、宮原副会長は「今後の問題ではあるが、党として明確で一貫した政策を示すことによって、与党との違いを明らかにしてほしい」と注文を付けた。
今後、日本経団連では、会員企業に対して、政策評価を参考に、企業の社会的責任の一端としての重要な社会貢献として、自発的に政治寄付を実施するよう呼びかけていくこととしている。同時に政党に対しては、今回の政策評価を示すに当たって、(1)民間の寄付を政策立案・推進能力の強化に充当すること(2)政治資金の効率化と透明性の向上に努めること――を改めて要望していくこととしている。