日本経団連は、持続可能な社会保障制度の構築を実現すべく、社会保障制度等の一体的改革に向けた提言(9月23日号既報)を発表するなど活動しているほか、年金制度等の実施庁である社会保険庁の改革にも協力している。
社会保険庁の組織のあり方などを検討する「社会保険庁の在り方に関する有識者会議」(8月26日号既報)に、事務局役員が参加。さらに、同庁の業務全般について、保険料拠出者や利用者の意見を反映させ、その改善を図ることを目的に新たに設置された「社会保険事業運営評議会」に、労使関係委員会共同委員長でもある鈴木正一郎・王子製紙社長と、紀陸孝常務理事が参加している。
また、社会保険庁改革を着実に推進していくために村瀬清司長官へアドバイスを行う新設の最高顧問に、元副会長の浜田広顧問(リコー最高顧問)が今月6日に就任したほか、27日には、長官直属のスタッフとして同庁の業務の抜本的改革を進めるプロジェクトリーダーに、(1)システム改革担当=向井信正氏(東芝ソリューション官公情報システム事業部電子政府ソリューション部長) (2)サービス向上改革担当=臼見好生氏(野村総合研究所コンサルティング・セクター主席コンサルタント・CDP推進室長兼業務管理室長) (3)保険料徴収改革担当=吉原淳一氏(東京電力本店品質・安全監査部業務監査グループ)――の3氏が就任した。
今月15日に開催された「社会保険事業運営評議会」の第1回会合で社会保険庁の村瀬長官は、同庁がさまざまな指摘を受けているとした上で、その指摘を改革に結び付け、「社会保険庁はよくなったと思われるようにしたい」とあいさつした。
意見交換では、「民間と違って、(社会保険庁には)外部監査の仕組みがない」「社会保険は保険であり、サービス業としての位置付けが必要」「年金は生活の支え。もっとわかりやすく広報してほしい」「出張講座やタウンミーティングなどを行えば、利用者の生の声が聞ける」――などの意見が出された。
同評議会は今後1年程度にわたり月1回開催し、保険料収納対策や被用者年金の適用徴収対策、個人情報保護対策、社会保険事務費、年金福祉施設などのテーマごとに、経緯や現状、問題点、改善案を検討することとしている。メンバーには、鈴木社長、紀陸常務理事のほか、井戸美枝氏(社会保険労務士、ファイナンシャルプランナー)、稲上毅氏(東京大学大学院学部長)、遠賀庸達氏(養玉院如来寺住職)、龍井葉二氏(連合総合政策局長)、宮武剛氏(埼玉県立大学教授、座長)が名前を連ねている。