経営タイムス No.2697 (2003年10月23日)
日本経団連の奥田会長は20日、東京・大手町の経団連会館で定例記者会見を行った。
まず、日本とメキシコの自由貿易協定(FTA)交渉が基本合意に至らなかったことについて、「残念であり、早期合意を求める」との所感を述べた上で、「日墨FTAがうまくいかなければ、今後、韓国やタイなどとのFTA交渉においても同様の問題が出てくる」と指摘、政府に対策を講じるよう強く求めた。
来月の総選挙に向け各党が発表したマニフェスト(政権公約)への評価については、マニフェストだけを日本経団連の優先政策事項(9月25日号既報)に照らして評価するわけではないとの考えを述べるとともに、「来年半ばまたは来年末に、その年の政党の活動実績を見て評価することとなる」と語った。その上で、現在の政権与党の出したマニフェストが日本経団連の主張に近く、評価は高くなるとの見解を示した。
さらに奥田会長は、総選挙の最大の争点として社会保障制度改革を挙げ、「(社会保障制度改革の)骨格を示すことで国民の不安を払拭する必要がある」と指摘。歳出カットや給付額の抑制をしても「消費税がないと社会保障の財源がない」と述べ、消費税率引き上げの必要性を改めて強調した。
また、6日の記者会見で日本経団連のスタンスを表明した環境税(温暖化対策税)への考え方については、「"はじめに税ありき"という考え方は受け入れられないというスタンスに変わりはない」と明言。北城恪太郎・経済同友会代表幹事が「環境税は好ましい手段だと思う」と発言したことについては、個人としての意見か経済同友会としての意見かわからないとした上で、「日本経団連としては組織の総意として反対している」と繰り返し強調した。