一般社団法人 日本経済団体連合会
【春季労使交渉】
〔連合が公表した「2025年春季生活闘争 回答集計結果」で前年同期を上回る賃金引上げ率となっていることの受け止めを問われ、〕連合の集計結果によれば、第1回、第2回集計ともに前年同期を上回る高水準の賃金引上げ率となっている。とりわけ組合員数300人未満の中小労組は、全体と比較して前年同期からの伸び率が高く、連合も一定の手応えを感じているのではないか。
これから交渉が本格化する中小企業の結果も踏まえ、全体を見て評価する必要があるが、非常に良いスタートが切れたと感じている。賃金引上げのモメンタム「定着」の見込みが「確信」へと深まっていくことを期待している。
【筒井次期会長候補との共同会見】
〔筒井次期会長候補との共同会見を終えての感想を問われ、〕筒井次期会長候補の発言を聞き、まさにわが意を得たりという思いである。国内外問わず予見可能性が著しく低下する中、最も重要なことは、部分最適を図るのではなく、全体を俯瞰し、中長期的な視点に立って物事を考えることである。その両方について言及されており、改めて、良い方が次期会長に内定してくれたという印象であった。
〔経団連会長としてやり残した課題や次期会長に引き継ぐべきことを問われ、〕実現しなければならないことは「成長と分配の好循環」である。健全な社会なくして経済成長はなく、成長だけでなく分配の議論もしなければならない。資本主義は行き過ぎれば「Winner takes all」であり、実際に格差は世界中で厳然と存在する。他方で、成長なくして分配もなく、循環させることが重要である。筒井次期会長候補にもこうした考えを引き継いでもらいたい。
【政治】
〔石破総理が自民党の衆議院議員1期生との会食において1人10万円の商品券を配ったことについて問われ、〕政治資金規正法に抵触しているかどうかは様々な意見があるが、昨今の世間の常識から少し離れていることは問題であろう。李下に冠を正さずではないが、少し残念である。
石破総理は丁寧に説明されていると思うが、理解が得られない場合は、場を改めて説明を尽くすとおっしゃっている。十分な説明がなされているかどうかは人によって判断が異なるが、石破総理には引き続き、丁寧かつ真摯に説明をいただきたい。
【実質賃金】
〔経済財政諮問会議(24日開催)において、実質賃金の計算に用いる物価指標として、持家の帰属家賃を含む「総合」も用いるべきとの意見が出たことについて問われ、〕政府・日銀が目指す2%程度の適度な物価上昇における「物価」は、諸外国で用いられる指標と同様、持家の帰属家賃を含む「総合」である。他方、毎月勤労統計調査における実質賃金の計算では、「持家の帰属家賃を除く総合」が用いられている。「物価」について議論する際、どの指標に基づく数字なのかを理解して行う必要がある。
政府内で統一見解を持つのがよいのか、また国民の皆様にどういう提示の仕方をするのがよいのかということを、政府の中でこれから具体的に検討されると思う。
【旧統一教会への解散命令】
〔宗教団体「世界平和統一家庭連合」(旧統一教会)に対し、文部科学大臣が請求した解散命令について、東京地裁が請求を認め、同団体に解散を命じたことの受け止めを問われ、〕信教の自由を保障する観点から、宗教法人の解散命令については、厳格な手続きが定められている。旧統一教会は、法令違反があり、また著しく公共の福祉を害すると判断されたということである。民法上の不法行為も法令違反の要件に当たると解されたのであろう。
同時に、被害者に対する支援も重要な課題である。政府には、引き続き被害者支援に全力を注いでほしい。