一般社団法人 日本経済団体連合会
【東日本大震災】
〔11日で東日本大震災の発生から14年を迎えることについて問われ、〕14年経っても、被災者の心身への影響は消えることはない。地域に残した物理的な傷跡は大きく、福島の原子力発電所のデブリの取り出しなども息の長い取り組みだ。復興には時間がかかるからこそ、手を緩めてはならない。経団連も引き続き、東北産品の応援消費の推進といった、地元の方々に寄り添った支援を行っていく。
日本の気候はもはや亜熱帯化し、自然災害は頻発化・激甚化している。同じ自然災害であっても、社会インフラの脆弱な地域により甚大な被害がもたらされるため、日本の社会インフラの総点検が必要である。防災庁を設置する趣旨もこうしたところにもあろう。その意味でも、東日本大震災から学ぶべきことは多々ある。
【春季労使交渉】
〔12日に集中回答日を控える中、今年の春季労使交渉の現状の手応えについて問われ、〕経団連は今年の春季労使交渉において、昨今の物価上昇を意識し、「ベースアップを念頭に置いた検討」を呼びかけている中、早期に高水準のベースアップを表明する企業が出ている。連合傘下の労働組合における賃金引上げ要求の平均が32年ぶりに率にして6%を超えたことも含め、賃金引上げの力強いモメンタムの「定着」に向けた息吹を実感している。
12日に製造業の大企業を中心に集中回答日を迎え、それ以降、今年の春季労使交渉のカギを握る、中小企業や有期雇用等労働者の賃金引上げの結果が出てくる。それらも踏まえて全体の数字と中身を評価する必要がある。
〔厚生労働省の1月の毎月勤労統計調査において、実質賃金が3カ月ぶりにマイナスとなったことの受け止めを問われ、〕葉物野菜等の生鮮食品やコメ、卵といった食材費の高騰が物価上昇を牽引しており、一般家庭の方々や飲食店を営む方々は非常に大きな影響を感じているであろう。経団連としても賃金引上げに全力を尽くしていくが、他方で、春季労使交渉で掲げている「物価に負けない賃金引上げ」は、政府・日銀の目指す2%程度の適度な物価上昇を前提としている。(同調査の実質賃金化に用いられた)1月の物価上昇は2%を大きく超えており、引き続き物価の推移を注視する必要がある。
【トランプ関税】
〔トランプ米大統領がカナダ・メキシコからの輸入品への25%の関税について、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)に適合した輸入品への適用を1カ月猶予すると発表したことの受け止めを問われ、〕トランプ米大統領が、USMCAが存在するにも関わらず、カナダ・メキシコからの輸入品に関税措置を講ずることとしたのは、両国からの移民や違法薬物の流入が理由であった。そうした理由と、1カ月の延期という判断がどのように整合するのかわからない部分がある。またそもそも、移民や違法薬物の流入阻止という目的に対して、関税という手段を用いることが妥当かどうかも論点であろう。
〔鉄鋼・アルミニウムや自動車への関税措置が講じられた場合の影響について問われ、〕日本の鉄鋼・アルミニウムの全世界への輸出に占める対米輸出の割合は非常に小さく、日本企業への直接の影響はそう大きくはない。ただし、米国の輸入する鉄鋼・アルミニウムの価格上昇に伴い、それらを用いる米国産製品の価格上昇は懸念される。自動車については、日本から米国への直接の輸出に加え、USMCAを前提にメキシコ・カナダに進出し、両国から米国に輸出している日系企業も多い。それらを踏まえると、自動車への関税は日本企業に大きな影響を及ぼすものである。
また、何よりビジネスにとっての予見可能性の低下が一番の問題である。予見可能性が低下すれば企業は投資に及び腰になるであろう。米国のような大国には、安心できる貿易投資環境の整備を期待したい。
〔武藤経済産業大臣がラトニック商務長官らと会談予定であることについて問われ、〕武藤大臣は非常に大事な役目を担われており、敬意を表したい。日本企業は、対米直接投資残高が8,000億ドルであり、約100万人の雇用を創出しており、米国に多大な貢献をしている。日本と米国が貿易において、いかにウィンウィンの関係であるかをよく説明いただき、今回の関税措置が日本に及ばないよう交渉されることを期待している。
【選択的夫婦別姓】
〔選択的夫婦別姓制度の導入に関する議論について問われ、〕これまで価値観の問題だとして議論すら十分にされてこなかったことが問題である。「万機公論に決すべし」であり、自民党の「氏制度のあり方に関する検討ワーキングチーム(WT)」(座長:逢沢一郎衆院議員)はじめ、様々な場で精力的に議論がなされていることは非常に結構なことであり、歓迎する。自民党大会(9日開催)で、連合の芳野会長が選択的夫婦別姓制度の導入の必要性を強調されていたことも、議論が公になされていることの表れではないか。
経団連は、6日に開催されたWTで魚谷副議長から申し上げたとおり、選択的夫婦別姓制度の導入を内容とする1996年の法制審議会で答申された案がベストと考えている。法制審で答申された案では、子どもの姓は婚姻時に決めるが、他にも子どもの姓の決め方には様々な考え方がある。いずれにせよ、議論を加速してほしい。
【大阪・関西万博】
〔大阪・関西万博のアンバサダーを務めるお笑いコンビ「ダウンタウン」の浜田雅功氏が休養入りを発表したことについて問われ、〕コメントできることは無い。万博のコンテンツが固まり、広報活動も活発化する中、前売り券の売上も伸びつつあり、雰囲気の盛り上がりを感じている。本件による大きな影響がないことを期待している。