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会長コメント/スピーチ  記者会見における会長発言 中国地方経済懇談会後の共同記者会見における十倉会長発言要旨

2025年2月27
一般社団法人 日本経済団体連合会

【春季労使交渉】

〔今年の春季労使交渉における課題や、経団連の取り組みなどについて問われ、〕経団連は、2023年を「起点」として、2024年に「加速」した賃金引上げの力強いモメンタムを、2025年は「定着」させる年とすべく「2025年版経営労働政策特別委員会報告」を取りまとめた。この周知活動を全国約60カ所での講演などを通じて展開している。賃金引上げは労使の真摯な交渉を経て決まるものであって、時々の物価上昇をダイレクトかつタイムリーに反映するものではないが、労務費を含む価格上昇が適切に転嫁されて2%程度の適度な物価上昇が実現し、それをできるだけベースアップでカバーするという循環を回すことが理想である。こうした観点から、今年は「ベースアップを念頭に置いた検討」を呼びかけている。

特に、今年の春季労使交渉では、働き手の約7割を占める中小企業の社員や、4割近くに上る有期雇用等労働者の賃金引上げがカギを握っている。重要なことは、大企業と中小企業だけでなく、中小企業と中小企業、あるいは中小企業と消費者との取引も含めた労務費を含む適切な価格転嫁の推進であり、「良い製品・良いサービスには相応の値が付く」ことをソーシャルノルム(社会的規範)として浸透させることである。これは慣習の問題であり、一朝一夕に実現するものではなく、粘り強く取り組んでいく。

【中国地方の転出超過】

〔中国地方の転出超過の是正に向けて必要なことを問われ、〕魅力ある地域にしなければならない。ただし、各地域が似たような地域振興策を講じる地方創生では、均質的な地域が量産されるだけであり、限界がある。「FUTURE DESIGN 2040」では、人口500万人以上程度の道州圏域それぞれが、観光や農業といった産業だけでなく、エネルギー、インフラといった様々な面で特色を打ち出し、切磋琢磨することを提唱している。そうした道州圏域間の競争の結果として、東京一極集中は是正されていくのではないか。

【2024年の出生数】

〔厚生労働省が27日に発表した2024年の出生数を踏まえ、必要な少子化対策について問われ、〕2023年のこども未来戦略会議で申し上げたとおり、少子化対策として取り組む課題は三つある。第一に、希望する若い世代が結婚でき、子どもを持てるだけの所得水準に引き上げるための賃金引上げである。第二に、現役世代の社会保険料負担が重いことに起因する、将来への漠然とした不安を解消できる全世代型社会保障制度の構築である。第三に、性別を問わず仕事と育児の両立を可能とする働き方改革である。日本は欧米と比較し、男性が家事・育児を負担する割合が低い。男性が家事・育児に一層従事し、女性が両立できる環境を整える必要がある。

こうした施策を通じ、成長と分配の好循環を実現しなければならない。とりわけ、全世代型社会保障制度の構築には時間がかかるからこそ、待ったなしで取り組むべきである。

〔自民党、公明党、日本維新の会が、社会保障改革の推進について検討する協議体の設置で合意したことについて問われ、〕協議体では、マクロ的な中長期の視点で検討を行い、税と社会保障の一体改革に確実に取り組んでほしい。

【トランプ関税】

〔トランプ関税の受け止めや日本政府への期待について問われ、〕トランプ米大統領は様々な関税措置を検討している。現時点で実際に発動しているのは中国からの輸入品に対する10%の追加関税のみだが、カナダ・メキシコからの輸入品に対する25%の関税措置は3月4日から適用される予定であり、自動車や半導体等への関税措置も検討されている。日本から輸出している企業や、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)を前提に両国に進出している企業にとっては、大きな打撃となる。

また、鉄鋼・アルミニウムといった素材への関税措置は、より幅広い影響が予想される。いずれは米国内でインフレという形で影響が生じ、ひいては世界経済に悪影響を及ぼすのではないか。引き続きトランプ米大統領の動向を注視したい。

日本企業は、対米直接投資残高が1位、雇用創出も2位と、米国に多大な貢献をしており、日米首脳会談で石破総理もそうした発信をされている。武藤経済産業大臣も3月に訪米し、日本企業への関税措置の適用免除を求める予定との報道に接しており、日本に極力マイナスの影響が及ばないよう、交渉されることを期待している。

【柏崎刈羽原子力発電所】

〔東京電力柏崎刈羽原子力発電所の再稼働を巡り、特定重大事故等対処施設(特重施設)の完成が遅れ、7号機が2029年8月まで再稼働できない可能性が判明したことについて問われ、〕非常に驚くとともに残念である。ただし、特重施設は、重大事故等の対策の信頼性を向上させるためのバックアップ措置であり、特重施設の有無が直ちに発電所の安全性に影響を与えるものではなく、設置前であってもその設置期限までは原子力発電所の運転が可能である。したがって、稼働準備が整えば、特重施設の設置期限を2025年10月に迎える7号機と、2029年9月に迎える6号機を、2031年まで切れ目なく1基ずつ稼働させることは可能である。

今夏の電力需給の安定性なども踏まえ、安全性の確保と地元の理解を大前提に、柏崎刈羽原子力発電所の早期再稼働を期待したい。今後の動向を注視していく。

以上

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