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会長コメント/スピーチ  記者会見における会長発言 関西会員懇談会後の記者会見における十倉会長発言要旨

2023年1月19
一般社団法人 日本経済団体連合会

【2025年大阪・関西万博】

大阪・関西万博のテーマは、「いのち輝く未来社会のデザイン」である。ロシアのウクライナ侵略によって無垢な人々の命が理不尽に失われ、また、コロナ禍にあって多くの人が命を落とした。世界中の人々が、命について想いや考えをめぐらせている中にあって、時宜を得た、非常に意義のあるテーマである。万博の開催を通じて参加者による多様な協創が生み出され、経団連が唱えるSociety 5.0 for SDGsの達成につながることを期待している。今年のどこかで万博の機運醸成に向けスパートをかけなければならない。いつギアを上げるかは検討段階だが、一気呵成に取り組んでいきたい。

他方、万博の課題として、資材・エネルギー価格の高騰や人手不足による会場建設費への影響を懸念する声があることは承知している。万博の質やアピールポイントをしっかりと維持しつつ、費用の低減や効率的な実行など工夫を凝らして予算内(1850億円)に収まるよう、2025年日本国際博覧会協会が目下、懸命に取り組んでいる。

〔万博の日本経済への貢献について問われ、〕世界中から万博を見に来た観光客がその足で日本各地を訪れ、日本の伝統・文化、風景、食など有形無形の資産に触れ、その素晴らしさを自国に持ち帰っていただく絶好のチャンスであり、これによって海外に日本ファンが増えることが期待される。

【賃金引上げ】

「2023年版 経営労働政策特別委員会報告」では、日本全体の賃金引上げの機運醸成には、企業の9割以上、従業員の約7割を占める中小企業の賃金引き上げが重要であり、そのためにサプライチェーン全体での適正分配の実現が必要と訴えている。そこで今月13日には、経団連・日商・同友会の三団体長連名で、それぞれの会員企業に対し、パートナーシップ構築宣言への参画と着実な実行を改めて呼びかけた。さらに、雇用者の4割近くに上る有期雇用等労働者の賃金引上げもしっかりとやっていく必要がある。

賃金引き上げは、単年度で終わらせることなく、企業の社会的責務として、持続的・構造的なものにすべく取り組まなければいけない。今年を継続的・構造的な賃金引上げの起点としたい。

〔経団連「2023年版 経営労働政策特別委員会報告」に対する連合見解への所見を問われ、〕経団連と連合の基本的な考え方・目指すべき方向性は一致しており、大きな相違点はない。デフレ脱却や物価動向を特に重視した賃金引上げの重要性、産業構造の変化に対応するための労働移動の必要性などについて認識を共有している。

【貿易赤字】

〔2022年の日本の貿易赤字が過去最大となったことについて問われ、〕日本の経済構造が成熟段階に入っていることに加えて、ロシアのウクライナ侵略に伴う資源・食料価格の上昇、円安、コロナ禍でのサプライチェーンの目詰まりが大きな要因である。

【新型コロナウイルス】

〔新型コロナを、感染症法上の5類に位置付けることの是非について問われ、〕mRNAタイプのワクチンや治療薬が開発され、免疫の獲得も進んでおり、以前とは状況が異なる。そこで経団連では、現在の2類相当から5類相当に移行すべきと主張している。ただ、医療費や治療薬、ワクチン接種費用などの公費負担を全て一気になしとするのは現実的ではないため、段階的に必要な措置を講じるべきである。

以上

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