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会長コメント/スピーチ  記者会見における会長発言 定例記者会見における十倉会長発言要旨

2023年1月10
一般社団法人 日本経済団体連合会

【2023年版経営労働政策特別委員会報告】

近く公表する「2023年版経営労働政策特別委員会報告(経労委報告)」は、「成長と分配の好循環」の実現に向けて、賃金引上げのみならず働き方改革のさらなる推進やDE&I(Diversity, Equity and Inclusion)の浸透、成長分野等への円滑な労働移動、働き手のエンゲージメントとエンプロイアビリティの向上などを強く訴える内容となっている。

賃金に関しては、デフレからの脱却と人への投資の促進による「構造的な賃金引上げ」を目指した企業行動に転換する絶好の機会であることを強調したい。かねて経団連は、「賃金決定の大原則」に則った検討を呼びかけている。この大原則には「様々な考慮要素の検討」が含まれている。今年の春季労使交渉では、物価動向を最も重視すべき考慮要素としながら、企業の社会的責務として、持続的な賃金引上げを会員企業等に広く働きかけることになろう。

日本全体で賃金引上げの機運を醸成すべく、働き手の約7割を雇用する中小企業に賃金引上げのモメンタムを広げていく必要がある。公正・適正な取引の徹底や、デジタルトランスフォーメーション(DX)支援等を通じた中小企業の生産性向上と付加価値増大が不可欠である。適正な価格転嫁を促すべく、経団連・日商・同友会の三団体長連名で、それぞれの会員企業に対しパートナーシップ構築宣言への参画と着実な実行を近く要請する。

〔2022年12月の東京都区部消費者物価指数が前年同月比で4.0%上昇したことについて問われ、〕数字一つひとつに反応するのではなく、2022年度の物価の状況や2023年度の行く末をよく吟味し、物価高に負けない、かつ一過性ではない賃金引上げを呼びかけたい。

【少子化対策】

〔岸田総理が表明した「異次元の少子化対策」についての受け止めを問われ、〕「異次元」という言葉から、全力を挙げて少子化に取り組むという総理の意気込みをひしひしと感じる。日本は今、二つの有事に直面している。一つは安全保障の問題、もう一つは、静かなる有事とも言われる少子化問題である。少子化は社会経済構造に大きな影響を与えるものであり、しっかりと対応しなければならない。経団連は分厚い中間層の形成を最重要テーマとしており、社会保障の問題にも当然、引き続き注力していく。

〔少子化対策の財源について問われ、〕日本の財政状況はもとより、施策の中身やタイミングをよく踏まえて議論すべきである。広く薄く、社会全体、国全体で負担していくのが基本である。

以上

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