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Policy(提言・報告書)  税、会計、経済法制、金融制度 SSBJ公開草案 ~指標の報告のための算定期間に関する再提案~ へのコメント

2025年1月10
一般社団法人 日本経済団体連合会
金融・資本市場委員会
ESG情報開示戦略タスクフォース

サステナビリティ基準委員会(SSBJ)御中

サステナビリティ開示ユニバーサル基準公開草案第2号、サステナビリティ開示テーマ別基準公開草案第3号「指標の報告のための算定期間に関する再提案」(以下、公開草案)へのパブリックコメントの機会に感謝する。以下の通り回答する。

【 質問 】

本公開草案における再提案の内容に同意しますか。同意しない場合には、その理由をご記載ください。

  • 本公開草案に関連するサステナビリティ情報開示の目的は、情報の利用者が企業に資源を提供するかどうかに関する意思決定を行うにあたり、当該企業のサステナビリティに関連するリスク及び機会に関する有用な情報を提供することであるが、気候関連で経済社会的により重要なのは、先ず各企業が温室効果ガス排出量の削減に取り組む事であり、企業内のリソースが限られる中において、それに関する温室効果ガス排出量の算定と報告は効果的かつ効率的に行われなければならない。コネクティビティの観点からは、会計期間とサステナビリティ情報の報告期間は完全に一致していることが望ましいものの、以下の理由により本提案に反対する。

    • 有価証券報告書の開示(3月決算会社の場合は6月)までに前年度の温室効果ガス排出量を取り纏めることは、今後保証の義務付けも見据える中で実務上の対応が難しく、温対法に基づく温室効果ガス排出量の開示を可能とする場合、直近報告値での開示を可能とすべきである。算定と報告について企業側に過度な負担を強いる制度設計にしてしまっては、本来注力すべき温室効果ガス排出量を削減するための具体的なアクションに割くべき企業側のリソースが減ってしまうリスクを孕む。
    • 報告期間の差異については、実績が確定したところで(法定書類ではないものの)企業のウェブサイト等で開示することも可能であり、差異の縮小に向けた具体的な取り組みも可能と考える。そもそも温室効果ガス排出量等の非財務情報は、企業の財務諸表に含まれる情報を補足・補完する情報であり、直ちに企業価値を左右するものでもなく中長期的なトレンドで評価されるべきものである。
    • SSBJ基準による開示のほか、温対法やGXリーグ等、類似した目的にも拘わらず、一定の企業には、各基準や法令に応じた開示がそれぞれ求められる事になる。各制度の細かな違いによる重複作業の負荷は可能な限り削減することが、制度の浸透を図り、開示の質を向上させる観点からも望ましい。また、投資家にとっても同様の数値が複数開示されることは効率的な意思決定判断を阻害する可能性がある。
  • 本公開草案の提案は、測定方法の選択適用に限って期間の一致に関する規定を定めているが、ISSB基準には該当記載はなくSSBJ基準がISSB基準より厳格化された定めと認識されかねない。ISSB基準との整合性確保の観点からは、BCX1~3については追加すべきではないと考える。

  • 一括した算定・報告・公表が可能となるよう、制度間での協調に向けてSSBJからも関係省庁へ働きかけることを期待する。例えば、温対法・GXリーグでGHGプロトコルのデータも活用できる制度設計を目指す事が効果的と考える。ただし、制度間の協調を検討するにあたっては、それぞれの制度の趣旨や経緯を十分に認識し、いずれの制度の意義が一方的に損なわれることがないよう丁寧に議論を行う必要がある。既存の法令である温対法では、実務負荷も考慮した上で報告期間の規定を定めたと理解しており、その趣旨は尊重されるべきである。

以上

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