経団連は3月3日、東京・大手町の経団連会館で環境委員会廃棄物・リサイクル部会(関口明部会長)を開催した。2024年12月27日に開催された「循環経済に関する関係閣僚会議」において取りまとめられた「循環経済(サーキュラーエコノミー)への移行加速化パッケージ」について、環境省から説明を聴いた。概要は次のとおり。
■ 基本的な考え方
循環経済(サーキュラーエコノミー、CE)への移行は、廃棄物等を資源として最大限活用し、付加価値を生み出すことで、新たな成長につながるものである。また、気候変動や生物多様性の保全といった環境課題の解決に加え、地方創生や質の高い暮らしの実現、産業競争力の強化、経済安全保障の確保にも貢献する。CEへの移行を進め、廃棄物等循環資源の再資源化について質・量両面での水準を引き上げるべく、国家戦略として政府一体となり取り組んでいく。
■ 地域の循環資源を生かした豊かな暮らしの実現
わが国には、地域の特性を生かした資源循環の好事例が存在する一方で、意欲はあるがCEへの取り組み方が分からない自治体も存在する。こうした状況を踏まえ、自治体のCEビジョン・モデル作成を支援する。また、全市町村で構成される資源循環自治体フォーラムの創設および人材育成支援を含めた活動の全国展開等にも取り組む。これにより、地域の循環資源を最大限活用する新たな事業の形成と地域経済の活性化を実現する。
■ 国内外一体の高度な資源循環ネットワークの構築
CEへの移行をコストではなく経済成長の機会と捉え、CEの高度化に向けて、製造業・小売業等と廃棄物処理・リサイクルに携わる資源循環業の事業者間連携やイノベーションを促進する。資源有効利用促進法の一部改正や再資源化事業等高度化法の完全施行に向けた制度的枠組みを整備していく。さらに、国内の循環資源はもとより、海外の循環資源も国内で活用することも念頭に、資源循環拠点整備等を支援していく。
■ 資源循環分野の国際ルール形成
現在提案されている企業の循環性の情報開示に関する指標や枠組みは、実際に運用するには未成熟であり、指標の種類、定義、スコープ、計算方法が確定していない。企業が循環性に関する進捗状況を比較可能な形で測定・評価・報告する国際的なフレームワーク(情報開示スキーム)が未整備である。こうした状況を踏まえ、持続可能な開発のための経済人会議(WBCSD)と環境省は、24年2月に協力覚書を締結し、グローバル循環プロトコル(Global Circularity Protocol=GCP)(注)の開発で連携している。日本政府として、資源循環分野の情報開示に係る国際ルール形成を主導し、日本企業の国際競争力の維持・強化を図りたい。
◇◇◇
この他、「循環型社会形成自主行動計画~2024年度フォローアップ調査結果」について審議し、了承された。
(注)資源循環に関する情報開示・指標の国際ルール化を目指して、WBCSDが国連環境計画(UNEP)と共に開発中の循環性情報開示スキーム
【環境エネルギー本部】