
マッタレッラ大統領
経団連は3月5日、東京・大手町の経団連会館で、イタリアのセルジョ・マッタレッラ大統領との懇談会を開催した。経団連からは、東原敏昭副会長、遠藤信博副会長、泉澤清次副会長らが、イタリア側からは、エドモンド・チリエッリ外務・国際協力副大臣のほか、日本に進出しているイタリア企業が出席した。マッタレッラ大統領の発言概要は次のとおり。
日本とイタリアは2026年に、外交関係樹立160周年の節目を迎える。両国は第2次世界大戦後、自由、民主主義といった共通の価値観を持ち、相互の信頼のもと、政治、経済のみならず、文化や人的交流等のさまざまな分野で協力関係を深化させてきた。23年には二国間関係が戦略的パートナーシップに格上げされた。
今日、両国は気候変動やデジタル化といった新たな課題に直面している。インターネットからAIに至るまで技術が急速に発達しているデジタル分野では、技術が人々のために活用されるように一定の管理が必要である。日本が議長を務めた23年のG7で策定された高度なAIを開発する組織向けの国際行動規範は、24年のG7イタリアでモニタリングを実施することとなった。両国は共に高齢化社会であり、デジタル技術を活用しながら社会課題を解決し、人間中心の社会を築いていく必要がある。
また、グリーン移行も両国共通の課題である。気候変動対策は、1カ国で対処できる問題ではなく、各国の信頼と協力が必要である。日本とEUは共に50年カーボンニュートラル(CN)達成を目標として掲げており、両国は革新的な技術の研究開発等に取り組んでいる。イタリアは再生可能エネルギーやサーキュラーエコノミー(CE)で先んじており、日本は省エネ技術で世界を牽引している。
日伊ビジネスグループ(IJBG)の活動をはじめ企業間の連携は、より良い未来社会に向け、両国の経済発展に重要な役割を果たしている。今後、多岐にわたる分野で産業界同士の協力が進むことを期待している。
2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)や26年のミラノ・コルティナ冬季オリンピックといった機会を通じて、より一層交流が活発化することが期待される。
【国際経済本部】