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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2025年3月27日 No.3677 提言「日・トルコEPAの速やかな締結を求める」を公表

経団連は3月18日、提言「日・トルコEPAの速やかな締結を求める」を公表した。概要は次のとおり。

2014年12月に日本とトルコ両政府が、日・トルコ経済連携協定(EPA)交渉を開始してから10年余りが経過した。その間、経団連は早期締結を繰り返し要望してきたが、いまだ締結に至っていない。

この約10年の間に、日本はオーストラリアなど4カ国との二国間協定のほか、環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)、日EU・EPA、地域的な包括的経済連携(RCEP)協定などのメガFTA(自由貿易協定)を締結する一方、トルコも同期間で9カ国とFTAを締結している。双方のこうしたFTA・EPA締結の実績を考えれば、なぜ日・トルコEPAのみが締結にこれほど長い期間を要しているのか理解し難い。

トルコは、関税同盟やFTA締結国以外の国々に対して追加関税や輸入規制を課しており、日本もその対象となっている。対象品目も年々拡大し続けており、日本からの輸出は競争上、著しく不利な状況となっている。こうした現状は看過できない。親日国で地政学上重要な位置にあるトルコは、戦略的に重要なパートナーであり、本提言は両国関係の重要性に見合う、高い水準のEPAの早期締結を求めるものである。

■ 日本にとってのトルコの重要性

トルコは約8500万人の人口を擁し、成長が見込まれる魅力的な市場を有すると同時に、生産年齢人口が総人口の3分の2以上と労働力も豊富である。日本にとって欧州・中東・中央アジア等の第三国市場を見据えた製造・輸出拠点であり、トルコ企業との連携によってアフリカなどへの事業展開も容易となる。EUへの高水準の市場アクセスを可能とする日EU・EPAを結んでいる日本にとって、EUとトルコの市場一体性は無視できない重要な要素となっている。

■ トルコにとっての日本の重要性

日本は対外直接投資残高が世界第6位という有数の投資国であり、トルコにもすでに多くの日本企業が投資している。トルコ企業は、日本企業と連携・協力することによって、日本のメガFTAネットワークを通じてビジネスを展開できる。トルコが求める先端技術を有する企業があることも日本の魅力の一つである。

日本は長年にわたり、直接投資を通じてトルコ経済に貢献している。中国やトルコとFTAを締結している韓国に比べ、累積直接投資額や現地拠点の雇用人数で大きく上回っている。

トルコに生産拠点を置く日本企業からは、年間約58億ドルが輸出され、外貨獲得に貢献している。この輸出額は、トルコが懸念している日本との間の対日貿易赤字(23年は約48億ドル)を補って余りある水準に達している。

■ EPA締結によって期待される効果

関税の引き下げ・撤廃のほか、輸入規制の適用除外などのビジネス環境の改善が実現し、製造・輸出拠点としてのトルコの魅力が高まれば、日本企業による直接投資、現地雇用の創出、トルコから欧州などの第三国市場への輸出拡大、両国企業による協業やジョイントベンチャーの創出などが期待できる。日・トルコEPA締結によって日本、EU、トルコの経済的連結が強化されれば、日本企業に大きなメリットをもたらすだろう。外交関係樹立101年の2025年、EPA締結と共に日トルコ関係の新しいスタートを切るのに、これ以上ふさわしい時はない。

【国際経済本部】

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