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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2025年3月13日 No.3675 IASBの最新動向 -金融・資本市場委員会企業会計部会

経団連は2月12日、東京・大手町の経団連会館で金融・資本市場委員会企業会計部会(佐々木啓吾部会長)を開催した。国際会計基準審議会(IASB)の鈴木理加理事、ザック・ガスト理事からIASBの最新動向について説明を聴くとともに意見交換した。説明の概要は次のとおり。

IASBの作業計画のタイプは、「リサーチ・プロジェクト」「基準設定プロジェクト」「維持管理プロジェクト」「適用上の疑問点」「適用後レビュー」――の五つに大別される。

このうち、基準設定前のプロセスである「リサーチ・プロジェクト」については、現在「無形資産」「キャッシュ・フロー計算書および関連事項」「償却原価測定」――の三つがある。検討すべき潜在的なトピックとして、「無形資産」ではIAS第38号(無形資産)の範囲、無形資産の定義・認識・測定や開示等がある。「キャッシュ・フロー計算書および関連事項」では、キャッシュ・フロー情報の分解やカテゴリーへの分類、現金および現金同等物の定義、直接法と間接法の使用等がある。また、「償却原価測定」については、関連する要求事項から生じる適用上の課題に的を絞った改善であることから、既存の要求事項の根本的な見直しではないと整理し、その前提でプロジェクトのアプローチを検討している。いずれの「リサーチ・プロジェクト」も、IASB内での検討が進めば「基準設定プロジェクト」に進む可能性がある。

次に、「基準設定プロジェクト」については、公開草案で寄せられた意見を基に検討を進めている「企業結合―開示、のれんおよび減損」や「持分法」のほか、2025年上半期に修正が予定されている実務記述書「経営者による説明」等が含まれる。この「経営者による説明」について、公開草案での提案に対する的を絞った改善の審議は完了している。国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)の協力を得て、財務諸表およびサステナビリティ開示とのコネクティビティも含めた内容で最終化していく。コネクティビティについては近年ますます注目度を増している。このため、IFRS財団(注)も、IASBとISSBの連携を密にし、概念や用語の整合を図るなど、おのおのが開発する基準間の一貫性を確保している。

◇◇◇

意見交換では、昨今のIASBにおけるプロジェクトの進め方、注記や比較可能性に対する考え方、保証を見据えた際のコネクティビティに関連する情報を開示する企業側の実務対応の困難さ、「キャッシュ・フロー計算書および関連事項」において直接法適用に伴う企業側の懸念について、意見・コメントがあった。

(注)国際財務報告基準(IFRS)の策定を担う民間の非営利組織。傘下にIASBおよびISSBがある

【経済基盤本部】

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