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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2025年3月13日 No.3675 ポッティンジャー元米大統領副補佐官との懇談会を開催

ポッティンジャー氏

経団連は2月14日、東京・大手町の経団連会館でマット・ポッティンジャー元米大統領副補佐官(ガルノーグローバル共同創業者CEO)との懇談会を開催した。第2次トランプ政権における対中政策や日本への影響について説明を聴くとともに意見交換した。ポッティンジャー氏の発言の概要は次のとおり。

■ 三つのRで貿易政策を転換

トランプ大統領は「三つのR」を重視している。相互主義(Reciprocity)、再工業化(Re-industrialization)、不動産(Real Estate)である。特に貿易政策では、就任当初から、広範な関税措置を世界規模で実施する方針が見られる。

対米黒字を抱える国々に対して、より均衡の取れた貿易を目指すという名目で、相互関税を課す。これは第1次政権と異なり、中国だけでなく、台湾、ベトナム、インド、日本など、主要な貿易黒字国・地域全てが対象となる。恐らく3~5カ月以内に関税賦課のプロセスが始まるだろう。

鉄鋼・アルミニウムに次ぐ関税対象は、半導体産業だと予測する。第1次政権では中国製のみを対象としたが、今回は半導体を製造する全ての国が対象となる。完成品や部品を含めて広範な関税を課す可能性が高く、これはグローバルなサプライチェーンに甚大な影響を及ぼすだろう。さらに医薬品、自動車産業への関税も検討されている。

■ 政府機関の改革と西半球重視の姿勢

再工業化政策の一環として、政府機関の大規模改革も実施する。数十万人規模の公務員を民間部門へ移し、規制緩和と政府支出の削減を目指す。これはトランプ大統領の持論であり、公務員を生産性の高い民間企業へ移すことで、政府のスリム化と経済の活性化を同時に実現する狙いである。

外交面では西半球重視の姿勢を強めている。就任演説では、具体的な国・地域として、メキシコ、パナマ、カナダのみに言及し、アジアや欧州には触れなかった。特にカナダには2000億ドルの対米黒字削減か米国の一部になるかの選択を迫るなど、強硬な姿勢を示している。

■ 対中・対日関係の行方

対中政策については、フェンタニル(合成麻薬)の原料輸出規制やウクライナ停戦での協力を期待し、当面は習近平政権との協力を模索すると予測する。しかし、習政権が貿易、麻薬対策、国家安全保障の面でトランプ大統領が期待する成果を挙げられなければ、半年から1年後には再び敵対的な関係に戻るだろう。

日本との関係では、新政権においても日本企業による対米直接投資は高く評価されている。トランプ大統領は雇用重視のナショナリストであり、海外からの投資を積極的に受け入れる方針であることから、日本企業による投資は今後も歓迎される。一方、貿易については、対米黒字の削減圧力からは逃れられず、特に自動車産業への関税は現実味を帯びてくる可能性がある。

【国際経済本部】

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