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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2025年2月27日 No.3673 女性登用のパイプライン強化のために企業ができること~経営視点から見る女性活躍と具体的取り組み事例 -ダイバーシティ・マネジメントセミナーを開催

経団連と内閣府は1月29日、「女性登用のパイプライン強化のために企業ができること~経営視点から見る女性活躍と具体的取り組み事例」をテーマに、ダイバーシティ・マネジメントセミナーをオンラインで共催した。全国から約1000人が参加した。

カルビーの江原信社長兼CEOによる基調講演の後、トリドールホールディングスの古川雅代ハピネス・ヒューマンサポート本部ハピネスカルチャー推進部長が、データを活用した女性活躍の推進について講演した。概要は次のとおり。

■ 基調講演「多様性を尊重した『全員活躍』の推進」(江原氏)

カルビーグループは、企業の成長に最も重要な資産は人財であるとの認識のもと、多様性を重視した従業員の「全員活躍」を推進している。とりわけ、約半数を占める女性の活躍を推進するため、2030年度までに女性管理職比率を30%超とする目標を掲げ、現時点で24.8%に達している。ダイバーシティ経営を本格的に開始した10年当初の同比率は6%未満だった。取締役会の多様化を進め、経営の監視体制を強化したほか、各事業本部に重要業績評価指標(KPI)を設け、女性管理職の着実な登用を推進した。

また、生産・営業部門における女性管理職比率の低さが課題であったため、19年から「女性リーダー育成プログラム」を導入し、パイプラインの強化を図るとともに、リーダーシップ研修やメンター制度を通じて管理職候補を育成している。さらに、管理職への昇進後も長く活躍できるよう、トレーニングや社内外とのネットワーキングの機会を拡充すると同時に、フレックスタイム制やリモートワークの拡充、男性の育児休業取得など、柔軟な働き方を推進し、職場環境の改善にも取り組んでいる。

加えて、女性活躍にとどまらず、DE&I(Diversity, Equity, Inclusion)の取り組みを強化している。07年に特例子会社「カルビー・イートーク」を設立し、重度知的障がい者の雇用を支援している。シニア社員に対しては、再雇用制度を拡充し、専門性を有する社員には現役時代と同等の待遇を適用する仕組みを24年に導入した。またLGBTQ支援として、同性パートナーにも福利厚生を適用しているほか、公平な評価基準を整備している。今後は本部長・執行役員クラスの女性比率の向上を目指し、管理職から経営層へ途切れることのない人財育成を進めていく。

「全員活躍」の実現には、経営層と従業員が相互理解を深め、一人ひとりの潜在能力や強みを引き出すことが重要である。経営層が積極的に全体方針や成長戦略の理解浸透を図り、従業員自らが行動に移していくことで、成長し続ける強い企業を目指す。

■ 女性活躍推進の取り組み事例と賃金差異の要因分析から見えた課題(古川氏)

トリドールホールディングスは、女性活躍推進における課題を抽出するため、社内の男女間賃金差異を分析した。その結果、非正規雇用労働者においては、勤続年数の長さを背景に女性の賃金が男性よりも高かった(125.9%)。一方で正規労働者では、女性の賃金は男性よりも低い(81.1%)という実態が浮かび上がった。

要因として、正規労働者の女性の勤続年数が短いこと、管理職比率が低いことが挙げられる。特に育児・介護との両立が女性のキャリア継続を妨げる大きな障壁となっていることが判明した。

この課題に対応するため、対象者に妊娠から復職後にかけて専属のサポーターを付け、定期的な面談や円滑な復職をサポートするサポーター制度を開始した。また事業子会社で女性管理職が誕生していることを踏まえ、ポジティブアクションとして、管理職候補となる女性社員を対象とした座談会を実施している。ここではトップメッセージの発信を通じて、管理職になることへの意欲の向上や課題の抽出を図っている。

さらに、D&Iの取り組みはLGBTQやシニア雇用、外国籍従業員の支援など多岐にわたる。特例子会社「トリドールD&I」を設立し、障がい者雇用を促進するとともに、LGBTQの社員が安心して働ける環境を整備した。D&Iは企業の競争力向上に直結するため、データを活用し、現場に根付く形で施策を進めることが重要である。

ダイバーシティ・マネジメントセミナー アーカイブ動画
https://www.youtube.com/watch?v=evdbdUFxIa8

【ソーシャル・コミュニケーション本部】

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