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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2025年2月27日 No.3673 東海地域経済懇談会を開催

あいさつする十倉会長

経団連と中部経済連合会(中経連、水野明久会長)、東海商工会議所連合会(東海連、嶋尾正会長)は2月6日、名古屋市内で東海地域経済懇談会を開催した。経団連からは十倉雅和会長、副会長らが、東海側は中経連の水野会長や東海連の嶋尾会長をはじめ約200人が参加し、「公正・公平で持続可能な社会を目指して」を基本テーマに意見交換した。

また、経済懇談会に先立ち開催した昼食懇談会では、東海国立大学機構の松尾清一機構長から、大学間連携と産学共創に関する同機構の取り組みについて説明を聴くとともに、東海側首脳を交えて意見交換した。

経済懇談会の開会あいさつで中経連の水野会長は、同月3日、2050年ごろの社会を展望し、当地が目指す針路を示す「羅針盤」として、「中部圏ビジョン2050」を策定した旨を述べた。同ビジョンでは、日本全体の課題とその対応策に対し、中部圏としてどのように貢献できるかについて、産業・人材・地域社会の三つの観点で必要な取り組みを提示したと説明した。

続いて十倉会長があいさつ。24年12月に取りまとめた、日本の未来社会の姿を描く「FUTURE DESIGN 2040」(FD2040)を紹介。わが国が避けては通れないパスウェイである「科学技術立国」と「貿易・投資立国」の基盤となるのは公正・公平で持続可能な社会であり、その実現には「成長と分配の好循環」が欠かせないと述べた。また、25年4月に開幕する2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)の成功に向けて、皆で盛り上げていきたいとの決意を述べた。

■ テーマ1「活力ある地域づくり」

まず、日本語学校誘致、式年遷宮を契機としたインバウンド戦略、「中部圏ビジョン2050」に関して、中経連・東海連から問題提起があった。

これに対して、経団連から、

  1. (1)地域経済社会の自律的・持続的な発展のためには、地元の経済団体や企業、教育機関等が連携した取り組みが必要。日本語学校誘致は、日本が外国人材から「選ばれる国」になるための環境整備としても重要である(小路明善副会長)
  2. (2)式年遷宮は、国内のみならず、海外からも注目を集める重要な機会。伊勢志摩地域の歴史や文化、豊かな自然環境や食などについて、魅力の向上と発信を進め、観光を通じた地域社会の活性化を実現してほしい(長澤仁志副会長)
  3. (3)「中部圏ビジョン2050」で掲げられたグリーントランスフォーメーション(GX)の実現には、再生可能エネルギーや原子力の最大限の活用が不可欠。また、低炭素化・脱炭素化を図りつつ、火力発電を活用することも重要である(兵頭誠之副会長)

――との発言があった。

■ テーマ2「産業競争力の強化」

次に、中小企業の生産性向上、地域資源の活用、イノベーション創出に関して、中経連・東海連から問題提起があった。

これに対して、経団連から、

  1. (1)生産性向上に向けて、モノづくり等の知識と掛け合わせつつ、デジタル技術やデータの活用を図ることが重要。中小企業単独での取り組みには課題も多いため、サプライチェーン全体での取り組み推進に向けた支援が必要である(亀澤宏規副会長)
  2. (2)愛知県は「ナゴヤイノベーターズガレージ」や「STATION Ai」といった大企業、スタートアップ、学生等が交流する場を整備し、中部圏全体を巻き込むスタートアップエコシステムの形成に取り組んでおり、大変心強い(遠藤信博副会長)
  3. (3)イノベーションや産業競争力強化のためには、新技術の社会実装や新規ビジネスの発展を阻害している規制や制度を不断に見直していくことが不可欠。こうした観点から、経団連は毎年、規制改革要望を取りまとめている(筒井義信副会長)
  4. (4)地域の多様なステークホルダーが主体的に地域課題の解決等に取り組むことを推進すべきであり、とりわけ、人口減少が加速するなかでは広域的な連携が肝要。また、大阪・関西万博の全国的な機運醸成への協力をお願いする(永井浩二副会長)

――との発言があった。

閉会に当たり、東海連の嶋尾会長があいさつ。「デジタルトランスフォーメーション(DX)や生産性向上等は今後の成長への課題であり、企業が果敢に挑戦することで東海地域のレベルアップが図られ、ひいてはわが国の国際競争力強化につながっていく。こうした好循環の推進が、われわれ経済団体に求められる役割である」と締めくくった。

【総務本部】

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