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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2025年2月20日 No.3672 IAASB、IESBAの最新動向 -金融・資本市場委員会企業会計部会・ESG情報開示国際戦略タスクフォース

経団連は1月22日、東京・大手町の経団連会館で、金融・資本市場委員会企業会計部会(佐々木啓吾部会長)とESG情報開示国際戦略タスクフォースの合同会議を開催した。国際監査・保証基準審議会(IAASB)(注1)のトム・サイデンスタイン議長、ジョセフィーン・ジャクソン副議長からIAASBの最新動向について、国際会計士基準倫理審議会(IESBA)(注2)の井村知代ボードメンバーからIESBAの最新動向について、説明を聴くとともに意見交換した。

サイデンスタイン氏(中央)、ジャクソン氏(右から2人目)、井村氏(左)

サステナビリティ情報開示への関心が世界的にますます高まるなか、開示のみならず保証も含めて、欧州を先頭に制度開示の動きが加速している。国内においても、金融審議会「サステナビリティ情報の開示と保証のあり方に関するワーキング・グループ」で制度化の検討が進められており、来日した関係者から直接説明を聴く貴重な機会となった。概要は次のとおり。

■ ISSA 5000

IAASBは2024年11月、国際サステナビリティ保証基準(ISSA)5000の最終版を公表した。ISSA 5000は、既存の基準である「監査及びレビュー業務以外の保証業務(ISAE 3000)」や「温室効果ガス報告に対する保証業務(ISAE 3410)」を活用する形で開発された。

ISSA 5000の開発に当たっては、世界中で使用される共通のルール(グローバルベースライン)になるよう強く意識した。そのためISSA 5000は、(1)全ての適合する報告の枠組みに基づいて作成されたサステナビリティ情報に対して適用される(2)倫理と品質マネジメントに支えられる(3)限定的保証・合理的保証の両方をカバーする(4)全ての保証業務実施者が利用できる(5)温室効果ガス排出を含む全てのサステナビリティ情報の保証を包含する――といった特徴を備える。

サステナビリティ情報の保証制度が日本で導入される際は、ISSA 5000を参考に開発された日本基準に準拠して、保証業務が行われることを期待する。

■ 「継続企業」プロジェクト、および「不正」プロジェクト

サステナビリティ報告の重要性がより高まっている一方で、財務報告に関する監査基準の整備も引き続き重要である。IAASBでは、「継続企業(ISA570)」と「財務諸表監査における不正(ISA240)」について、現行基準改正プロジェクトの最終化を進めている。

■ IESSA

IESBAは25年1月、「サステナビリティ保証業務に関する国際倫理基準(IESSA)」の最終版を公表した。IESSAは、(1)財務諸表監査に適用されるものと同じ高い水準の倫理・独立性基準である(2)全てのサステナビリティ保証業務実施者に適用できる(3)いかなる報告および保証のフレームワークにも対応できる――といった特徴を備える。

IESSAは保証業務実施者を対象者とする規定であるが、保証業務を受ける企業側にも間接的な影響を及ぼす。例えばバリューチェーンについて、グループサステナビリティ情報に対する保証業務実施者には、バリューチェーン構成単位(VCC)に対するそれぞれの保証業務実施者の独立性を確認することが求められる。そのため、企業側にはグループサステナビリティ情報に対する保証業務実施者と適宜連携することなどが求められる。

◇◇◇

意見交換では、ISSA 5000に関しては「保証業務提供者を問わず、保証品質を一定レベルの高水準に保つための施策」や「利用者ニーズと実務負荷のバランスを取ることの重要性」等について、IESSAに関しては「バリューチェーンに関する独立性」等について、それぞれ意見・コメントがあった。

(注1)国際監査基準(ISA)、ISSA等の設定機関

(注2)世界中の職業会計士を対象とした倫理基準の設定機関

【経済基盤本部】

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