経団連は12月24日、産業構造審議会・中央環境審議会の合同会議で検討されている太陽光発電設備のリサイクル制度に関して、説明会をオンラインで開催した。
2012年7月に固定価格買取制度(FIT)が開始されて以降、太陽光発電設備の導入が急速に拡大しており、30年代後半以降、使用済み太陽光パネルの排出量が急増することが見込まれている。使用済み太陽光パネルのリサイクルを着実に進めなければ、最終処分量の大幅な増加による処分場の逼迫や、不適切な管理・放置に伴う有害物質流出等が懸念されている。こうした状況を踏まえ、政府は24年9月以降、太陽光発電設備のリサイクルに関する制度のあり方について集中的に検討し、報告書案を取りまとめた。
そこで今般、資源エネルギー庁および環境省から報告書案の説明を聴くとともに意見交換した。説明の概要は次のとおり。
■ 検討背景
FITの開始以降、電源構成に占める再生可能エネルギー(太陽光発電等)の比率は増大している。わが国の再エネの中心である太陽光発電は、今後のネットゼロ達成に向けて引き続き導入の拡大を進めることが必要である。他方、将来的に大量排出される使用済み太陽光パネルのリユースや再資源化を促進するとともに、発電事業終了後の太陽光発電設備の放置ならびに不法投棄を徹底して防止することが不可欠である。
■ 制度概要
確実に再資源化が行われる制度を構築すべく、「モノ」「費用」「情報」の観点で検討した。
1.モノ
原則として、既設分を含め、全ての太陽光発電設備および太陽光パネルを制度の対象とすべきである。太陽光パネル以外の部材は、すでに市場原理で再資源化が進んでいるものもあるため、再資源化義務の対象から外すことが適当である。対象とする太陽光パネルの種類・設置形態については、再資源化技術の開発・普及状況等に応じて検討する。
他方、放置・不法投棄の防止については、太陽光発電設備全体を対象として、必要な措置を検討すべきである。
リサイクルの実施体制に関しては、広域的に太陽光パネルを引き取り、一定水準以上の再資源化が実現可能な中間処理業者を主務大臣が認定する制度を設けたうえで、高度な再資源化設備の導入を後押ししていくことが必要である。また、排出ピークを平準化する観点も重要であるため、平準化に資する太陽光発電設備の長期安定電源化に向けた取り組みに加え、パネルのリユース促進を同時に進めていく。
2.費用
太陽光発電設備の再資源化に際しては、太陽光発電設備の解体・撤去・収集運搬・中間処理・埋め立て処分等の適正処理を実施するための「解体等費用」に加え、太陽光パネルを再資源化するための「再資源化費用」が新たに生じる。
解体等費用は、解体等費用の少ない設備構造を選択する動機付けになることに鑑みれば、設備所有者の負担とすることが適当である。また、設備所有者は、原則として、当該設備の使用開始前までに、解体等費用を第三者機関へ預託することとすべきである。
再資源化費用は、易解体性・軽量化や有害物質使用量の低減等、再資源化費用低減に資する環境配慮設計を行う経済的インセンティブが生じやすいことから、輸入業者を含む製造業者等に負担を求めるべきである。太陽光パネルの製造業者等は、製品を上市する時点等で、再資源化費用を第三者機関へ納付することとすべきである。
3.情報
太陽光パネルの製造・販売から再資源化までのライフサイクルの各段階において必要となる情報を一元的に管理し、関係者間で共有することが適当である。また、技術的な理由等で当面は制度対象外となる太陽光パネルの情報も把握できるようにすることに加え、効率的な管理の観点から第三者機関へと集約し、モノと費用の情報をひも付けておくことが適切である。
【環境エネルギー本部】