
大庭氏
経団連は1月15日、教育・大学改革推進委員会企画部会(平松浩樹部会長)をオンラインで開催した。
政府は、グローバル人材の育成を加速すべく、日本人学生の海外派遣の拡大や優秀な外国人留学生の受け入れ・定着の促進と併せて、大学教育の国際化を進めている。そこで、日本発のオンライン国際教育プラットフォームである「Japan Virtual Campus」(JV-Campus)の取り組みについて、事業元である「大学の国際化促進フォーラム」でJV-Campus運営委員会委員長を務める筑波大学の大庭良介教授から、説明を聴くとともに懇談した。説明の概要は次のとおり。
■ JV-Campus~日本の高等教育の国際的玄関口
JV-Campusは、国際化に取り組む大学を重点的に支援する文部科学省「スーパーグローバル大学創成支援事業」の一環で構築され、2022年3月から事業が開始されている。25年1月6日現在、国内の高等教育機関68機関、海外の高等教育機関7機関、企業3社がコンテンツを提供している。
JV-Campusは、日本の高等教育を海外に広めることで、海外の学生が日本に関心を持ち、日本に留学するきっかけを提供する日本の高等教育の国際的玄関口としての役割を担っている。また、オンデマンド型の教育に加え、ICTを用いてオンラインで海外大学との交流を行うCOIL(Collaborative Online International Learning)型教育など、リアルタイムの教育も取り入れている。さらに、JV-Campusに参画する教育機関は学修歴を電子的に証明するデジタルバッジを発行できるため、学習者は学修歴の管理が可能である。
海外からの留学生を増やすため、英語による受講が可能な環境のもとで、日本文化や日本語学習のコンテンツに加え、大学独自のユニークなコンテンツを提供している。一方、海外の大学からのコンテンツ提供等により、日本人学生に留学を促す取り組みも進めている。
外国人留学生が日本に定着するうえで、企業等との連携が重要なことから、オンライン上でのインターンシップの実施や企業独自のコンテンツの開設も行っている。国内外の学生等に企業の事業活動を周知することで、日本国内での就職につなげたい。
JV-Campusは、国内外から注目を集め、181の国・地域から累計約27万人が訪問しており、訪問ユーザー数の70%が海外である(24年11月30日時点)。
■ 今後のJV-Campusの取り組み
JV-Campusでは13大学が開発した単位取得が可能なコースを25年度から随時配信する予定である。海外の学生がJV-Campusに参画している大学に入学した場合、留学前にJV-Campusで取得した単位を卒業単位として認定する仕組みを今後構築していく。また、JV-Campusオリジナルの有料のマイクロクレデンシャルのコースを25年度から随時配信できるよう準備している。マイクロクレデンシャルは、学位と比べて短い期間で特定のテーマについて学ぶプログラムであり、その学修成果を証明する機能を有している。JV-Campusを通じて単位やマイクロクレデンシャルを取得でき、学修歴をデジタルバッジとして管理できる仕組みが構築できれば、訪問者や継続利用者の増加が期待できる。
JV-Campusを通じて企業の皆さまと連携・協働できる取り組みを探りながら、わが国の高等教育の国際化や国際的な人材流動の活性化に貢献していきたい。
【教育・自然保護本部】