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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2025年2月13日 No.3671 企業取引研究会の報告書に関する説明会を開催 -公取委および中企庁と意見交換/経済法規委員会競争法部会

経団連は1月24日、経済法規委員会競争法部会(大野顕司部会長)をオンラインで開催した。公正取引委員会経済取引局取引部の亀井明紀企業取引課長および中小企業庁事業環境部の鮫島大幸取引課長から、「企業取引研究会」の報告書について、それぞれ説明を聴くとともに意見交換した。概要は次のとおり。

■ 公取委説明

亀井氏

公取委と中企庁は、2024年6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2024」(骨太方針2024)も踏まえて、下請代金支払遅延等防止法(下請法)の改正等に向けた検討を開始した。同年7月から有識者会議「企業取引研究会」を開催し、適切な価格転嫁をサプライチェーン全体に定着させるため、優越的地位の濫用規制・下請法のあり方について検討し、同年12月に報告書を公表した。同報告書では、研究会での意見を基に、主に六つの論点への対応の方向性を示している。

第一は、適切な価格転嫁の環境整備である。現行の下請法における「買いたたき」規制での課題に対応するため、下請事業者からの価格協議の申し出に応じなかったり、親事業者が必要な説明を行わなかったりするなど、一方的に下請代金を決定する行為を禁止する。

第二は、下請代金等の支払い条件の見直しである。下請法の支払い手段として約束手形を廃止し、その他の支払い手段についても支払期日までに満額を受け取れるものに限定する。また、振込手数料を下請事業者に負担させる行為を下請法違反と明示する。

第三は、物流に関する商慣習の問題についてである。荷役や荷待ちなど荷主と物流事業者間の問題について、発荷主が運送事業者に対して物品の運送を委託する取引を新たに下請法の対象とし、規制を強化する。

第四は、執行に係る省庁間の連携の強化である。事業所管省庁への指導権限付与や、下請事業者への報復措置の禁止の申告先に事業所管省庁を追加することで、公取委、中企庁、事業所管省庁の連携を強化する。

第五は、下請法の適用基準の見直しである。現行の資本金基準に加えて、従業員基準を導入することで、下請法の適用逃れを防止する。

第六は、「下請」という用語の見直しである。下請法の趣旨や対象となる取引を適切に表現するため、時代の情勢変化に沿った用語に改める。

公取委と中企庁は、これらの方針を踏まえ、下請法改正法案を早期に国会に提出することを目指している。経済界には、取引適正化に向けて引き続き協力をお願いしたい。

■ 中企庁説明

鮫島氏

中企庁は、下請法に加えて、下請中小企業振興法の改正も検討している。同法は、望ましい取引関係を示す振興基準を定め、指導や助言、調査や公表を行っている。

石破茂内閣総理大臣は1月16日、中小企業の経営者と意見交換した。その際、中小企業からは、「サプライチェーンの源から価格転嫁が進まないと、隅々までの価格転嫁が難しい」旨の意見が出された。

これを受け、石破首相は同日、関係閣僚に(1)下請法の遵守状況の点検(2)サプライチェーンの頂点にある企業は直接の取引先だけでなくさらにその先も含めた価格転嫁、情報発信(3)労務費指針の遵守――を指示した。今後、関係閣僚から業界団体に対し、これらの方針の実行を要請する予定である。

◇◇◇

説明の後、参加者との間で、下請法の対象基準や下請事業者との書面交付などについて意見交換を行った。

【経済基盤本部】

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