経団連は1月21日、「社会貢献活動に関するアンケート」結果を公表した。企業の社会貢献活動をテーマにした同調査は2020年度以来4年ぶり。24年9月30日から11月1日にかけて、経団連企業行動・SDGs委員会委員企業を対象に実施し、153社が回答した(回答率38.9%)。
今回は企業の社会貢献活動の現状と課題を把握し、関係者による今後の取り組みの参考とするべく、過去を踏襲しつつ昨今の動向も取り入れた設問とした。あわせて、能登半島地震の被災者・被災地支援活動の実施状況や課題を把握し、より効果的な災害被災者・被災地支援の取り組みの参考とするべく、支援活動に関わる質問を盛り込んだ。概要は次のとおり。
■ 社会貢献活動一般に関する調査~現状と課題

(図表のクリックで拡大表示)
「社会貢献活動の推進主体」として、8割以上の企業が「担当部署」や「担当役員」を、約6割の企業が「経営陣による意思決定機関」を設置している。実務担当者から経営レベルまでが一体となって、社会貢献活動を推進している傾向がうかがえる(図表参照)。
「社会貢献活動を行う理由」として、前回調査と同様「社会の一員としての責任」(94%)が最多となった。「社員が成長する機会」「社員のモチベーション向上や帰属意識の強化」が7割超に上り、人的資本への取り組みを意識する新たな傾向がうかがえる。
他組織との連携については、「NPO・NGO」(87%)「政府・自治体等」(78%)を挙げる企業が多く、前回調査と同様の傾向となった。また、「スタートアップ企業」との連携が増加している。
社会貢献活動を巡る課題として、「活動に参加・協力する社員の広がり」(70%)を挙げる回答が最多だった。「成果が見えにくい活動内容に対する評価の実施」「定量的な評価の実施」「活動のインパクト評価の実施」や、「イベント情報などの効果的な情報発信」なども60%以上となり、多くの企業で課題として強く認識されていることが分かった。
■ 能登半島地震における被災者・被災地支援活動に関する調査~実践と課題
能登半島地震の被災者・被災地支援について、回答企業の97%が「金銭寄付」「物品・サービス提供」「ボランティア派遣」等を実施している。
支援活動の課題として、(1)物品・サービス提供では「輸送手段の確保」や必要とされる「支援規模の把握」(2)ボランティア派遣では「交通手段・宿泊先の確保」、派遣先や必要人数などの「情報・ニーズ収集」「社員ボランティアの安全確保」――などを挙げる回答が寄せられた。
今後の被災者・被災地支援活動につながる教訓としては、「ステークホルダー横断的な災害対応体制の確立」「災害への事前の備え・方針策定」「NPO・社会福祉協議会との連携」「ボランティアコーディネーターの育成」「本業を通じた支援活動の必要性」等が指摘された。迅速・効果的な支援を届けるうえで課題が山積しているといえる。
【ソーシャル・コミュニケーション本部】