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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2025年1月23日 No.3668 トランプ新政権の動向等に関する懇談会を開催 -アメリカ委員会連携強化部会

シルバーバーグ氏

マクガバン氏

経団連のアメリカ委員会連携強化部会(板垣靖士部会長)は12月11日、戦略コンサルティング企業キャップストーンのダニエル・シルバーバーグ マネージングディレクターならびにエレナ・マクガバン マネージングディレクターの来日の機会を捉え、東京・大手町の経団連会館で懇談会を開催した。両氏は、ドナルド・トランプ米次期政権の政策動向とその影響について、次のとおり説明した。

■ トランプ次期政権の特徴

トランプ次期政権を理解するうえで、重要な特徴が三つある。第一に、大統領選への再出馬が制限されているため、トランプ氏は実質的に政策を実現することができる約18カ月の間に政策アジェンダを集中的に推進する可能性が高い。第二に、前政権と異なり、就任当初から自らに忠実な支持者を要職に起用し、組織体制も前回より整っている。第三に、政権内に「米国ファースト」の孤立主義派と伝統的な国際主義派という対立する勢力が存在する点である。

特に、ドナルド・トランプ・ジュニアが率いる米国ファースト派は、前回は政権の外にいたが、今回は重要な発言力を持つことになる。一方、伝統的な国際主義派には、マルコ・ルビオ次期国務長官などが含まれ、現時点での人事では、この国際主義派が優勢となっている。

■ 政策動向

トランプ氏は就任初日から、二つの重要な政策に着手するだろう。一つは不法移民に対する法執行の強化である。ただし、選挙期間中に公約で示した1100万人の強制送還は実現しないだろう。もう一つは関税政策である。同盟国に対しても10~20%、中国に対しては50~60%の関税を段階的に導入する見込みである。しかし、全ての関税が同じように適用されるわけではなく、産業界からの要請により、分野ごとに異なる税率や適用除外が設けられるだろう。実際に、韓国やオーストラリアは関税割当や適用除外の交渉を行っており、現在も多くの産業団体が適用除外を求めてロビー活動を展開している。

対中政策については、両派閥とも厳しい姿勢で一致している。ただし、技術分野については、シリコンバレーのテック企業が厳しい規制に反対するなど、複雑な様相を呈している。台湾政策については、ジョー・バイデン政権からの大きな転換はなく、むしろ軍事力の展開を通じて抑止力を強化することが見込まれる。

米国インフレ抑制法(IRA)の主要部分、特に水素、アンモニア、炭素回収に関する税額控除は維持されるだろう。一方、電気自動車(EV)に関する消費者向け優遇措置は廃止される可能性がある。

また、2025年1月2日に発効する対外投資規制により、AI、半導体、量子コンピューティングなどの分野における規制が強化される。さらに現在、中国の上場株式投資への規制を強化する法案が提出されており、次期議会で成立する可能性がある。これらの規制は米国企業だけでなく、第三国企業にも影響を及ぼす可能性があり、日本企業も注視する必要がある。

【国際経済本部】

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