
スティット知事
経団連のアメリカ委員会(澤田純委員長、早川茂委員長、赤坂祐二委員長)は12月13日、東京・大手町の経団連会館で懇談会を開催した。米国オクラホマ州のケビン・スティット知事から、同州の産業・エネルギーの現状やビジネス環境について説明を聴くとともに懇談した。説明の概要は次のとおり。
■ 強力な産業基盤とエネルギーの優位性
オクラホマ州の主な産業として、農業、畜産、航空宇宙、エネルギーが挙げられ、それぞれが全米トップクラスの規模を誇る。農業では小麦や綿花、畜産では牛肉や豚肉の生産が盛んである。航空宇宙分野でも、米国空軍の基地や、アメリカン航空の保守施設、連邦航空局の施設などが州内に立地し、全米をリードしている。
エネルギー分野では、石油と天然ガスを中心に、長年、米国のトップ10の資源産出州としての地位を維持している。さらに、再生可能エネルギーの供給にも強みを有している。風力発電量では全米第2位を記録しており、電力供給の半分以上を再エネが占めている。これにより、低コストのエネルギーを安定的に供給することを可能にしている。製造業やデータセンターなどエネルギー集約型の産業にとっても魅力的な立地である。
■ ビジネスに優しい州を目指した政策
米国内で最もビジネスに優しい州を目指し、国内外からの投資誘致に注力している。私たちは、オクラホマ州を世界的な企業の集積地にしたいと考えている。企業がスピード感を持って、ビジネスを進めやすい環境を構築するために、ビジネスに適した税制の構築や、規制緩和、行政手続きの簡素化等の政策を推進し、世界に対してビジネスにオープンな州であることをアピールしてきた。こうした政策的な取り組みの結果、多くの企業が進出している。太陽光発電関連の製品を手がけるノルウェーのノルサン(NorSun)による6億ドル規模の投資や、米国の航空機製造企業ボーイング(Boeing)が技術拠点をシアトルからオクラホマシティに移転したことは、その象徴的な事例である。
さらに当州は、国内の交通の要衝に位置しており、河川港や内陸港、空港や鉄道など、各地との物流・交通インフラが整っているという、ビジネスに適した立地も強みである。そのほか、良質な教育の機会を追求し続けており、質の高い労働力を有している。こうした点は日本企業にとっても魅力的だと考えられる。今後、日本企業による当州への投資が増加し、経済関係が深まることを期待したい。
【国際経済本部】