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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2025年1月23日 No.3668 ガバナンス・サミット2024を開催 -チャレンジングな時代を切り拓く経営戦略と取締役会のあり方を議論

経団連は12月16日、経済産業省、ガバナンス・サミット2024実行委員会と共に東京・大手町の経団連会館で「ガバナンス・サミット2024」を開催した。同サミットは、日本企業が取り組むべきガバナンス改革の方向性について、各界の第一人者を招き、さまざまな視点から議論することを目的としている。2020年から毎年開催され、今回で5回目(注)

■ 主催者あいさつ

冒頭、ガバナンス・サミット2024実行委員会の榊原定征委員長が登壇。24年は、政府の「日本再興戦略改訂」において14年に、成長戦略の最重要課題として「コーポレートガバナンスの強化」が打ち出されてから、10年の節目の年に当たるとし、社外取締役、女性取締役の増加など、これまでの改革の成果を振り返った。そのうえで企業経営者に、今こそ、「失われた30年」のリスク回避志向を捨て、アニマルスピリッツを発揮、大胆なリスクテイクとともに、実効性ある成長戦略を描くことが重要と訴えた。さらに、(1)「強い取締役会」を中核とした攻めのガバナンス改革(2)社外取締役候補者の育成など企業の実効的なガバナンス改革を支える基盤の整備――を求めた。

続いて、経団連の十倉雅和会長があいさつ。24年12月に取りまとめた「FUTURE DESIGN 2040」は、将来世代の立場も踏まえつつ日本の未来社会の姿を描いたものであると、その趣旨・内容を紹介。「本来、企業にとっても、株主・投資家にとっても、企業が社会課題を克服する事業を通じて持続的に成長し、利益を生み出し続けることで、資本市場、ひいては社会の発展に貢献することが、その目的にかなうことであるはず」と述べ、企業と株主・投資家との建設的対話に期待を示した。

■ 講演

(1)経産省 藤木俊光経済産業政策局長

まず藤木氏が、マクロ経済環境の変化と産業政策、コーポレートガバナンスを巡る経産省の取り組みについて講演。経営者の投資判断を市場から後押しするための環境整備として、攻めの成長投資に向けた「企業経営・資本市場一体改革」を提唱。高い資本効率・収益性を確保しつつ、社会課題の解決を通じた成長戦略を策定することで成長期待を集め、持続的に企業価値を向上させる「価値創造経営」の大切さ、「稼ぐ力」の強化に向けたコーポレートガバナンス改革を訴えた。

(2)ビデオメッセージ(ICGN ジェン・シッソン会長)

シッソン氏は活動で重視している点として、(1)強力で実効的な取締役会とその運営(2)信頼性の高い財務・サステナビリティの報告・保証(3)株主の権利の保護(4)投資家によるスチュワードシップのベストプラクティス――を挙げた。また、シッソン氏のメッセージの解説で登壇した、IFRS(国際会計基準)財団の芝坂佳子アジア・オセアニアオフィスディレクターは、日本企業にとって、国際コーポレート・ガバナンス・ネットワーク(ICGN)との対話は、投資家の考え方等を知るうえでも意義が大きいと強調した。

(3)ソニーグループ 吉田憲一郎会長

吉田氏は、これまでの株主との接点を具体的に振り返ったうえで、株主について三つの教訓として、(1)株主が関心を寄せるダイナミックレンジの広さ(2)会社が株主を選択することは不可能であること(3)株主は規模よりも効率を重視する傾向にあること――を説明した。そのうえでパーパスとプロフィットをつなぐことの大切さを訴え、ワークインライフ、生きがいの感じられる職場をつくることの重要性を説いた。

■ パネルディスカッション

講演後、パネルディスカッションが行われた。アサヒグループホールディングスの勝木敦志社長は、グループ理念を制定し、グローバル化に伴うエンタープライズリスクマネジメントを行ったことに加え、執行体制を強化するとともに、ボードについても監督機能を強化したことを説明した。三井不動産の植田俊社長は、グループ長期経営方針と事業戦略「三本の道」((1)コア事業のさらなる成長(2)新たなアセットクラスへの展開(3)新事業領域の探索、事業機会獲得)、社外役員ミーティングやプロジェクト見学会など、ガバナンスの工夫を説明した。

そのうえで、ブラックロック・ジャパンの江良明嗣インベストメント・スチュワードシップ部長マネージングディレクター、経産省経済産業政策局の中西友昭産業組織課長、大江橋法律事務所の国谷史朗パートナー弁護士、東京都立大学大学院の松田千恵子教授を交え、おのおのの立場・経験を基に、取締役会のなかで社外取締役が果たす役割等について議論した。

(注)会議の内容や資料は、下記ウェブサイトに掲載予定
ガバナンス・サミット2024ウェブサイト
https://gsummit.jp/

【ソーシャル・コミュニケーション本部】

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