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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2025年1月1日 No.3665 駐アフリカ地域日本大使との懇談会を開催 -活力あふれるアフリカと新たな価値を共創するパートナーに

経団連は11月28日、東京・大手町の経団連会館で大橋徹二アフリカ地域委員長、加留部淳同委員長、河村肇同委員会企画部会長らが出席し、外務省幹部ならびにアフリカ地域に駐箚する日本大使との懇談会を開催した。加留部委員長、堀内俊彦外務省アフリカ部長のあいさつに続き、4人の日本大使から現地情勢等について説明を聴くとともに懇談した。各大使の発言の概要は次のとおり。

■ 倉光秀彰 駐モロッコ大使

モロッコの経済情勢は好調である。再生可能エネルギーの導入を推進しており、豊富な太陽光や風力、立憲君主制ならではの強力なリーダーシップを背景に、2030年までに国内消費電力の52%を再エネで賄うとの目標を前倒しで達成し、27年には56%に達する見込みである。30年FIFAワールドカップ共催に向けて鉄道や道路などのインフラ整備も加速している。水資源不足を受けて、PPP(Public Private Partnership=官民連携事業)方式での海水淡水化施設の増設も進む。モロッコは欧州へ輸出するビジネスモデルを構築しており、フランスをはじめ欧州企業は再エネ開発を中心にモロッコへ投資を拡大している。

■ 一方井克哉 駐コートジボワール大使

コートジボワールは、S&Pグローバル・レーティングの格付けが「BB(stable)」と、国際金融市場における信用が高い(サブサハラで3番目)。わが国とは、首都圏の交差点、送電線網、港湾穀物バースなどインフラ整備で協力が進む。今後、商機がある分野として、インフラ整備、石油・天然ガスや金・マンガン等の資源開発、プラント資材・建機の需要増、デジタルトランスフォーメーション(DX〈デジタル・スタートアップ等〉)、30年までの温室効果ガス30%減(現況シナリオ比)を掲げ推進する再エネなどがある。

アビジャンでは、24年12月中旬に第3回日アフリカ官民経済フォーラム、25年1月上旬には日・コートジボワール官民インフラ会議が開催される。

■ 牛尾滋 駐南アフリカ共和国大使

南アフリカ共和国は、依然として、例えば日本企業にとって重要なダーバン港の混雑など、インフラをはじめとする課題が多い。24年5月の総選挙でアフリカ民族会議(ANC)が単独過半数を割り、連立政権となったが、ビジネス環境整備には前向きな姿勢を示している。また、こうした経済概況にかかわらず、日本企業が関与する個別の事業は堅調であり、地域統括拠点としての優位性も引き続き保っている。

エネルギーについて、大陽光や風力などの再エネのみでは限界があるところ、現在主力の石炭火力発電を一定程度生かす必要がある。混焼利用等により火力発電の脱炭素化に資するという点も含め、水素・アンモニアなどの前向きな動きは重要である。

日本企業にとって懸案であった企業内転勤ビザは改善の方向であるが、運用の状況を当面、注視する必要がある。また、経団連から要望のある二国間クレジット制度(JCM)の早期締結も進めたい。

■ 鈴木光太郎 駐アルジェリア大使

アルジェリアの経済は石油・ガスといった炭化水素に依存している。19年に就任したテブン大統領は経済重視を打ち出し、外資出資比率制限や対外借入制限の緩和、新投資法制定など、慎重ながらも外資への開放を進める。24年の再選後も、雇用拡大や非炭化水素産業強化、スタートアップ支援等を公約に経済重視を継続している。しかし、頻繁な法改正と不安定な法適用、輸入規制や外貨送金制限が障壁となり、日本企業の進出は多くない。トルコやカタールの企業が活躍しており、日本企業にとってもビジネスチャンスが期待される。

【国際協力本部】

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